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抱腹絶倒王/アレクサンドル・ベリャーエフ

抱腹絶倒王
アレクサンドル・ベリャーエフ

My評価★★★

訳:深見弾
『SFマガジン1976年8月号(213号)』所収


スポルジングは工科大学を優秀な成績で卒業したけれど、職にありつけない。恐慌で失業者が溢れているのだ。
手っ取り早く金を儲けるため彼が思いついたのは、おかしさの本質を理論的に解き明かし、どんな人間でも自由自在に笑わせること。
理論と実践を積み上げたのち、笑いをビジネスとして成功。そして、アメリカ一のギャグマンのコンツェルンを築いたミスター・ベックフォードに自分を売り込んだ。
たちまちベックフォード社は売り上げを伸ばすが、ベックフォードがスポルジングへの支払いを渋ったため、二人は仲違いする。

スポルジングは究極の笑いを武器に、ベックフォードに小切手を切らせる。
銀行員も警備員も警官隊も、スポルジングの言葉を耳にすると、激しい笑いの発作により痙攣して床をのたうち回った。そんな彼に、ジャーナリストは「抱腹絶倒王」の異名を与える。
いまや彼は大金持ちとなったが、何かが足りない。妻だ!
彼は金持ちで若く美しい未亡人のミセス・ファイトに結婚を申し込むが、それをキッカケに笑いというものの秘密を悟ってしまう。

********************

ソ連時代のSF作家アレクサンドル・ロマノヴィチ・ベリャーエフ(1884-1942)の短篇。奇想もの、ブラックユーモアものと言ったらいいでしょうか。アイデア一本勝負といったところ。

スポルジングがどういう理論を組み立て、どんなジョークをどう言うのかには触れていませんが、彼は笑いを武器に大金持ちになるんです。
そして「抱腹絶倒王」と呼ばれるようになります。これだけではただの荒唐無稽な話になってしまいますよね。しかし、そこで終わらないのがベリャーエフ。
笑いを分析して理論化を究めていくと、自らはどんどん笑いから遠ざかっていく。自分にとっての笑いや喜びといった感情を殺してしまうことにスポルジングは気づく。
笑いや喜びがなければ、富や権力や家庭に何の意味があるのかと自問。このあたりがベリャーエフの本領ではないのかと思うのですが。

作者はラストで、スポルジングはアメリカの機械化の精神を殺してしまったと、彼を診た逆説好きの医者の助手に言わせるんです。そこから、アメリカを舞台にしたのは、アメリカに代表される工業化や合理化に対する含みがあるように思われます。(2007/9/27)

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