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真夜中のパーティー/フィリパ・ピアス

真夜中のパーティー
フィリパ・ピアス

My評価★★★★☆

訳:猪熊葉子
岩波少年文庫(2000年6月)
カバー画・挿画:フェイス・ジェイクス
ISBN4-00-114042-X 【Amazon
原題:WAHT THE NEIGHBOURS DID AND OTHER STORIES(1972)

収録作:よごれディック/真夜中のパーティー/牧場のニレの木/川のおくりもの/ふたりのジム/キイチゴつみ/アヒルもぐり/カッコウが鳴いた


真夜中のパーティー
チャーリーは真夜中にハエの音で目が覚めた。こっそりと起きて、台所で何か食べようとしたら、そこには姉のマーガレットがいた!
チャーリーとマーガレットが台所でココアとチーズサンドを作っていると、真上の部屋のアリソンが音を聞きつけてやって来た。
アリソンは、母さんが朝食用に作っておいたマッシュポテトで、ポテトケーキを作り始めた。そしてまだ寝ている末っ子のウィルソンを連れて来て、仲間に入れようと言う。
ウィルソンにバレたら、なんでも言いつけられるから。そのためのアリソンの計略は?

牧場のニレの木
枯れかけて、いつ倒れるかわからないニレの木が伐られることになった。リッキーは自分たちの木が伐られることを、ウィリー・ジムに言った。
ウィリーは一番の仲良しだが、学校では新しい遊び仲間に入っていた。リッキーもその仲間に入りたかったが、まだ入れないでいる。
そこでリッキーは、仲間たちのリーダーに木が伐られることを教える。彼らは木が伐られるところを見たことがなかったので面白そうだと思い、みんなで見に行くことにした。

●川のおくりもの
ダンはロンドンから来た、いとこのローリーと川で遊んでいた。ローリーの水槽に入れるものを集めていた。
ダンが生きている貝をみつけた。イシガイだ。ローリーは生きたイシガイを初めて見たので、ロンドンに持って帰って水槽に入れたいと言うが、帰るまでにはまだ日がある。
二人はブラスチックの容器に貝を入れて、川に浸していた。ローリーは貝を「タン」と名づけて、二人で毎日様子を見に来た。
ダンはイシガイをロンドンに持って帰るのは気が進まなかった。途中で死んでしまうかもしれないから。でも、そもそもダンは、イシガイをそっとしておいてあげたかったのだ。

アヒルもぐり
僕は太っているからソーセージと呼ばれていた。僕は泳げるけど、飛び込みはしない。そこで、この夏はみんなが、僕に「アヒルもぐり」を練習させようとしていた。それは、泳いでいて、アヒルのように頭から水中に突っ込み逆立ちをして潜る。それからしばらく水の中にいて水面に顔を出す。
コーチは白い布を捲きつけたレンガを水に投げた。白い布は水中でも目立つからだ。それを取って来るために、僕は恐々潜った。

カッコウが鳴いた
夏の午後、バットは家族に知られずに裏庭から出かけようとしていた。ところがルーシーに見つかり、そのせいでお母さんに気づかれた。
お母さんはパットに、ルーシーの面倒を看るように言う。パットはルーシーを連れて、運動場の秘密の抜け穴を通って川へ向かう。
いつもなら対岸に渡れないのだが、木が倒れて両岸を繋ぐ橋になっていたのだ。二人は木を渡り、初めて対岸へ出た。
草花でティーパーティーを始めたルーシー。パットはここで遊んでいるように言いつけ、一人で憧れの見知らぬ世界へと進んだ。だが、戻ってみるとルーシーがいなかった!?

********************

なにげない日常生活の断片から、子どもたちの姿を鋭く描いた短編集。
いかにもイギリスの田舎らしい生活。そこで伸び伸びと暮らす子どもたち。なのだけれど、ちょっと違うんですよね。
確かに子どもたちは生き生きとしているのですが、喜びのほかにも悩みごとや心配事、胸のうちに秘められた不安や葛藤があるんです。ほんの些細なことで傷ついたり喜んだり。重大なんだけれども、誰にも言わず胸の内にしまい込んでいる想い。
子どもの心がどういうことに反応してどう動くか。作者は大人の観点から理想の子どもの姿や、自分の子ども時代の郷愁を描いたりせず、子どもの視点に立って表現していると思います。
そうしたことをサッと簡潔に、しかも適確に表現する作者の筆力!どの短編も作者の細やかで鋭い観察眼に驚かされるでしょう。感情を誇大表現しないところに好感がもてます。
子どもだけではなく、ちょっとしか登場しないけれど大人たちの姿も印象的でした。

私の書いたあらすじでは、ネタバレを避けるために肝心のところは書いていないので、これではどこが面白いのかわからないと思います。ですが短編の妙として、ラストがピリッとしているんです。全体的に甘くはないですね。どちらかと言えばシビアーです。

自然描写も秀逸で、私は特に『川のおくりもの』での真夜中の黒々とした川や、『カッコウが鳴いた』の秘密の抜け穴を抜けて、茫々とした叢を掻き分けら突然現れた見知らぬ景色が好きです。自分にも覚えがあるので、とても懐かしく感じました。
作者は失われてゆく自然に郷愁の念を抱いているのかもしれませんが、だからと言ってやみくもに讃美したり美化していないように感じられます。子どもの描写同様に、自然描写もありのままに表現しているように感じました。(2002/1/19)

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