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ルチアさん/高楼方子

ルチアさん
高楼方子

My評価★★★★★

カバー画・挿画:出久根育
フレーベル館(2003年4月)
ISBN4-577-02636-8 【Amazon


鬱蒼と茂る木に囲まれた「たそがれ屋敷」と呼ばれる一軒の家に、奥様と二人の娘スゥとルゥルゥ、そして二人のお手伝いさんが暮らしていました。
スゥは8歳、ルゥルゥは7歳。二人はたそがれ屋敷からほとんど外へ出たことがありませんでした。
父親は外国航路の船に乗っているのですが、もうずっと帰ってこないため、奥様は憂鬱な毎日を過ごしていました。

ある日、ルチアさんという通いのお手伝いさんが雇われました。
ルチアさんはちょっと変わった人で、誰に対しても人当たりがよく、働く姿を眺めているだけで楽しい気分にさせてくれます。
スゥとルゥルゥにとって、ルチアさんはとびきり変わっていました。
二人には、ルチアさんの卵のように丸い体が、ぼおっと水色に輝いて見えるのです!その姿は、二人が大切にしている水色の宝石とソックリ。
宝石はお父様からの遠い海のお土産で、ときどき取り出しては、見たことのない遠い海の向こうの国を想像するのでした。
宝石と呼んでいるけれど、本当は何なのか知りませんでした。

スゥとルゥルゥはルチアさんの後をつけて、水色の宝石と同じように光って見える秘密を知ろうとします。
でも、ルチアさんの娘のボビーに見つかってしまいました。二人は、ボビーからルチアさんの秘密を聞き出そうとします。水色の宝石を貸すから、秘密を見たいと頼むのですが・・・。

********************

あらすじの紹介は、おおよそ物語の半分まで。この後からが本筋になるのですが、どうしてもネタバレになってしまうので詳しいことは書けないです。
生活している「ここ」と、そうではない「どこか」の物語とでも思ってください。て、これじゃあわからないか。

最後の2章がじわっとさせてくれます。特にラストがなんとも言えないんですよぉ。
決してハッピーエンドではないのだけれど、物語の人物のように「どこか」に憧れずにはいられないんですよね。
憧れと哀しみと喜びが渾然となって、せつなくて胸がきゅんとしました。
出久根育の絵が雰囲気を高めています。特にカバー画の水色が素敵です。日本人でこんな色遣いは珍しいような。

天邪鬼な私は、ルチアさんの生き方に全面的には賛同できません。言ってしまえば、彼女の内面の時間が止まったようなものではないのかと思うからです。また、周囲の人々と本当に触れ合っているのかどうか疑問を感じてしまうから。ある意味、周囲から隔絶した生き方に思えてしまうんですよねぇ。
しかし、ルチアさんの生き方を否定する気はありません。
だって、辛いときや悲しいときはきっと誰にでもあり、おそらく誰もがそれをどうにかして乗り越えたいと思いますよね?そんなとき、支えとなる自分の核というべきものが必要だと思うんです。

ルチアさんの生き方は幸せなのか。「どこか」へ行ってしまった人たちは、本当に幸せなのだろうか?と、考えてみても答えを出せない。そもそも幸せとは何なのかな、と思ってしまう。
「ここ」の垣根を越えて「どこか」へ行く。そのことには憧れるけれども、ボビーの決断もよくわかる。どっちが正しいとかという問題ではないと思う。
結局のところ、ルゥルゥとボビーのように、それぞれが自分らしいと思う生き方をするしかないのではないかな。
幸せな生き方って何なのだろう。ガラにもなくそんなことを考えつつも、「どこか」への憧れを掻き立てられる・・・そんな物語でした。(2005/7/16)

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