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消えた象神(ガネーシャ)/サタジット・レイ

[名探偵フェルダー・シリーズ]消えた象神(ガネーシャ)
サタジット・レイ

My評価★★★☆

訳:西岡直樹
カバー画・挿画:山本明比古
くもん出版(1993年4月)
ISBN4-87576-765-X 【Amazon
原題:THE ELEPHANT GOD(1976)


『黄金の城塞』と同じく名探偵フェルダー・シリーズ。
フェルダーとトペシュは、冒険探偵小説家ジュタエことラルホモンさんの提案で、聖地バラナシ(ベナレス)へ行くことになった。
理由はドゥルガー女神の川流し(ヒンドゥー教の三大祭の一つ。祭りの最後に、飾られていたドゥルガー女神の塑像がガンジス河に流される)の見学。でも、実はラルホモンさんは、ガンジス河を流れてバラナシに辿り着いた不思議な力を持つマチューリー・バーバー(魚聖者)に会ってみたいからだった。

バラナシに滞在中のフェルダーは、ウマナト・ゴシャルという人物と知り合う。ウマナトの息子ルクが、ルク少年は冒険探偵小説の愛好家で、ジュタエの小説にも通じていたから。
フェルダーははウマナトから、なくなった家宝の象神(ガネーシャ。富と知恵の神で、頭が象で首から下は人間の姿)の神像を捜してほしいと依頼される。
神像は金で作られており、とても珍しい<森の精>という緑色のダイヤが嵌め込まれていた。その神像が、ウマナトの父親の長持ちから忽然と消えたと言う。
ウマナトは、悪名高いマンガラール(ヤクザの組長といったところか)がガネーシャ像をほしがっていたと言う。

調査を始めたフェルダーたちは、事件から手を引くようマンガラールに脅される。フェルダーは、マランガールはまだ神像を入手していないとにらんだ。だがやがて殺人が起き・・・。
祭りの最終日、手がかりとなるマチューリー・バーバーがバラナシを去るという。この日、フェルダーは勝負に出る。犯人は誰?そして神像はどこに!?

********************

ベンガル最大の祭りドゥルガー女神の川流しが行われる聖地バラナシ(ベナレス)を舞台にした、神像の争奪戦。
ベンガル人はヒンドゥー教徒だとばかり思っていたのですが、ヒンドゥーではないのだそうです。
フェルダーたちはベンガル人なのだけれど、あえて宗派が明示されていない(ように思われます)のは、作者が多民族・多宗教の自国を意識した上でのことではないかと思われます。

巻末にベンガル出版文化研究家・田中弘道『サタジット・レイについて』が有り、原書は16冊あるフェルダー・シリーズのうちの一冊とのこと。
サタジット・レイ(1921-1992)の家では、祖父の代から少年少女向けの月間雑誌を発行。海外の児童文学を翻訳するかたわら、執筆あるいは絵を描きてきたとのこと。祖父が翻訳を始めたのは、詩人タゴールの勧めもあったからなのだそうです。
その翻訳物のなかにコナン・ドイルのホームズ・シリーズがあり、サタジット・レイが愛読していたのだそうです。ホームズにインスパイアされて、インドという土地の実情に合わせて、年齢の幼い子どもでも楽しめるようにしたのがこのシリーズなのでしょう。

フェルダーの推理は都合が良すぎるのですが、少年少女向けの読み物だから。私としては事件そのものよりも、文化的背景に興味が惹かれます。表面的にはあまり表れていないのですが、ハッキリとした階級社会が覗えるんです。
また、バラナシという聖地でこその、神秘を求める人々と、いかがわしい人々との猥雑さが端的に伝わってくるんです。ベンガルの文化及びバラナシという聖地の雰囲気を知るには、わかりやすくていい。インド・ベンガル地方について白紙の状態で読んでも楽しめると思います。(2004/9/3)

黄金の城塞
+消えた象神(ガネーシャ)

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