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教会の悪魔/ポール・ドハティ

教会の悪魔
ポール・ドハティ(ドハティー)

My評価★★★☆

訳:和爾桃子
ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2008年4月)
ISBN978-4-15-001811-5 【Amazon
原題:Satan in St Mary's(1986)


1284年のイングランド。ロンドン市内の聖メアリ・ル・ボウ教会で、金匠で市参事会員のダケットの遺体が発見された。ダケットは妹を誘惑されたことに激怒して、市参事会員で金貸しのクレピンを殺し、保護を求めて教会に逃げ込んでいたのだ。
検視官は、密室での首吊りであったことから自殺と断定。
ところが王座裁判所の書記ヒュー・コーベットは、大法官バーネルに呼び出され、事件の真相を探るべく密偵に任命された。王のエドワード一世が、ロンドンを脅かす不穏分子を一掃したかったからだ。

エドワード一世は、父ヘンリー三世の跡を継いで王位に就いてから10年以上経つ。
皇太子時代にイーヴシャムの戦いで、反乱軍シモン・ド・モンフォールを排したのだが、いまだド・モンフォール残党に悩まされていた。残党による陰謀が進行中との手がかりを掴んでおり、クレピンは一味だったという。

コーベットは捜査の一環で、未亡人の酒場のおかみアリス・アット・ボウを訪ねる。ペストで妻子を亡くした彼はいまだ痛みをひきずっており、以来十数年も独り身で過ごしてきた。
だが、美女アリスに恋してしまう。アリスもまた・・・。コーベットはアリスとの恋にのめり込み捜査を忘れかけるのだが、次々と何者かに命を狙われる。

********************

訳者あとがきによると、ポール・ドハティはオックスフォード大学で英国中世史を学び博士号を取得。英国中世史のプロフェッショナルによる歴史ミステリ。国王の密偵コーベット・シリーズ1作目。
この作品はドハティの出世作なのだそうで、これまでに読んだ邦訳の中では、いまのところいちばん面白かったです。
ド・モンフォールの反乱は実際にあったことであり、アリス・アット・ボウは実在した人物だそうです。そうした実際の歴史を辿りながら、歴史の暗部を描き出しています。
歴史小説としては面白かったです。ただ、ミステリとしてはというと、この作家にトリックを期待してはいけないのでしょう。トリックはあまり重要ではなく、全体からすると目立たなかったのが良かったです。
あくまでも歴史小説として、歴史のナゾという意味でのミステリとして面白かったわけ。

トリックと、もう一つこの作家の弱いところはキャラクター造形。キャラクターの個性が薄いという点にあると思いました。性格や感情の動きが類型的で表層的なんですよねえ。
助手のレイナルフなどは、いじり方次第でもっとユニークなキャラになったろうに、と思うのだけれど。
とはいえ、さすが中世史の博士だけあって中世の街に詳しく、住居や食物、職業などが細かく書かれており、街の様子が伝わってきました。
シリーズ2作目は、名作の呼び名が高いとか。読んでみたいです。(2008/10/24)

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