スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ふゆのはなし/エルンスト・クライドルフ

ふゆのはなし
文・絵:エルンスト・クライドルフ

My評価★★★★★

訳:おおつかゆうぞう
福音館書店(1971年3月)
ISBN4-8340-0961-0 【Amazon
原題:EIN WINTERMÄRCHEN(1954)


冬、森はすっかり雪に覆われています。三人の小人たちは、七年に一度、雪と一緒に空から白雪姫がふわふわ降りて、七人の小人たちのところにやって来るころだと考えました。
白雪姫に会ってみたくなった三人は、七人の小人たちを訪ねることにしました。

翌朝はやく出発した三人は、ナナカマドの実を食べるお腹の赤いウソの歌に聞き惚れてから、雪深い森に入りました。
木々にはゾウや龍やワニなど、怪物の形をした雪が積もっています。それは雪なのかもしれません。でもひょっと
したら本当の怪物かもしれない。小人たちは晩、怪物の夢をみました。

三人は朝日のなかで優美にスケートをする氷の精を驚かしてしまいました。それからリスに出会い、ソリで七人の小人たちの近くまで運んでもらいます。
あたりが暗くなり、やっと七人の小人たちの住む木に辿り着いた三人は、白雪姫を囲んで宴会を楽しみます。
白雪姫は氷の精と一緒に、スケートで妖精の踊りをおどってくれました。小人たちは氷柱を鉄琴に見立てて打ち鳴らします。翌日はみんなで、いろんな雪あそびを楽しみます。
でも白雪姫は、空の向こうの自分の国のお城に帰らなければなりません。それはどこなのでしょう?
小人たちは七年後に白雪姫が来たときに、訊ねてみることにしました。

********************

エルンスト・クライドルフ(1863-1956)はスイスのベルン生れ。生涯のほとんどをアルプスで過ごしたそうですスイスで過ごしたからでしょう、ひんやりと澄んだ空気に満たされていて、私もその空気に触れるかのよう。胸の中に清浄な空気が、すーっと入り込んだ感じがするのです。
たっぷりと水分を含んだ雪が、清澄な空の下で、やわらかな陽光に照らされた輝きと陰影を、見事に表現しています。
日本画の絵の具に、光り輝くような白色があり、それを胡粉と言います。胡粉とはちょっと違いますが、この絵本の雪は、胡粉ような独得の質感と深み、照りのある白色なのです。

クライドルフは刻々と変化する自然の美しさと、自然に溶け込んだ題材から、素朴な愉しみを描いています。
小人たちは人間の住む俗界とは無縁の場所で、彼らなりの生活をして、彼らなりの喜びを発見します。それらは決して大袈裟なものではなく、とても素朴。

雪原で耳を澄ましてみると、目では何も捉えることができなくても、草木のざわめきや小動物の息遣いが伝わってくるのですが、そんな息遣いがこの絵本にはあるんです。
ひっそりとした自然の中に、美しさと喜びと詩情を見いだし、そこから作者が様々な物語を空想していった、そんな感じのする絵本。自然の中でこそ得られる、慎ましいけれど喜びに満ちた絵本だと思います。(2003/1/12)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。