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おじいちゃんが冬へ旅立つとき/C・K・ストリート

おじいちゃんが冬へ旅立つとき
C・K・ストリート(クレーグ(クレイグ)・キー・ストリート)

My評価★★★★

訳・解説:小野章
カバー画・挿画:H・フレンク
あかね書房(1981年11月)
ISBN4-251-06231-0 【Amazon
原題:When Grandfather Journeys into Winter(1979)


アメリカ・インディアン居留地で暮らすタイファ老人と孫のリトル・サンダー。老人は砂の地面に記号を書き、リトル・サンダーに教えようとする。
記号は彼らの言葉。彼は部族の「聖なるもの」とは異なる記号を書く。$の記号だった。それは白人にとっての神聖なものの一つ。また、テレビアンテナの記号は、白人にとっての宗教のしるし・・・。

ある日、居留地の隣りの土地を買ったテキサスから来た白人の金持ちが、まだ誰も乗りこなせずにいる牡の黒馬を乗りこなした騎手に500ドルの賞金を出すという。
誰もが失敗するなか、タイファ老人が名のり出た。娘でリトル・サンダーの母親エルク・ウーマン(大鹿の女)は老齢を気遣って反対するが、老人は耳を貸さない。
老人は賞金の代わりに、リトル・サンダー用のために黒馬を希望した。老人のロデオは、もはや部族では見られない素晴らしいものだった。
だがタイファ老人がこの世界での生命を終え、冬へ旅立つときがやってきた。老人はリトル・サンダーに、すべての生き物に与えられている贈りものについて語る。

********************

解説によるとCraig Kee Streteはチェロキー族の出身なのだそうです。カルフォルニア大学を卒業した後、邦訳当時は作家活動他、インディアンをとりあげた映画の脚本、博物館や美術館のインディアン文化財蒐集の責任者として従事していたということです。

タイファ老人は孫リトル・サンダーに、失われてゆくインディアンの価値観・世界観を伝えようとします。しかし居留地で暮らす人々にとってタイファ老人の考え方は、もはや廃れかけた(あるいは廃れてしまった)古臭いもの。
老人が伝えたいのは、インディアンとしてのアイデンティティや誇りといったものではないでしょうか。自然ともに生きる、彼らのfreedomなどの価値観や生命観。そこからは人間も他の動物と同じく自然のサイクルとともに生きている、ということを感じました。
そういったようなことが老人と孫とのふれあいを通じて静かに語られるのです。平明な言葉で語られていますが、そこには奥深い意味が秘められていると思います。

本書では、精神的な豊かさが語られています。
老人の考えは、現代の経済第一主義といった文明とは異なるもの。
一部において資本主義の矛盾が問われ始めている昨今、人間は経済活動のみの充実で幸福になれるのか、といった疑問の声が上がっています。私は科学・科学の進歩を否定する気は毛頭ありませんし、経済活動を全て否定する気もありません。ですが、お金やモノでは購えない精神的な豊かさといったものはあると信じています。
また、人間としての誇りやfreedomについて語られています。「誇り」とは、いまや死語のような気がしなくもないですが・・・。読んでいて、誇りがあってこそのfreedomだと思いました。(2006/12/6)

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