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エルフギフト/スーザン・プライス

エルフギフト
スーザン・プライス

My評価★★★★

訳:金原瑞人
カバー画:八木美穂子
ポプラ・ウイング・ブックス,上下巻(2002年7月)
上巻:ISBN4-591-07318-1 【Amazon
下巻:ISBN4-591-07319-X 【Amazon
原題:上巻:Elfgift(1995),下巻:Elfking(1996)


古代ブリテン島、ゲルマン民族サクソン人の王国。王が臨終の際に指名した後継者は、長子アンウィンと弟ハンティングとウルフウィアードでも、王の弟アセルリックでもなかった。王族でも貴族でもない、王がエルフの女に生ませたエルフギフトだった!

多神教を拝する王国で、キリスト教徒の王子であるアンウィンとハンティングは、エルフギフトが即位すれば自分たちキリスト教徒の身が危ないと考える。そしてハンティングが隊を率いて、エルギフト抹殺に向う。
エルフギフトは女戦士(ワルキューレ)・ヤルンセアクサの助力を得て難を逃れる。
助かったのはエルフギフトと、彼に恋する奴隷の少女エバのみ。復讐を誓ったエルフギフトは女戦士に導かれて、異界で剣の修行に励む。そして剣<オーディーン約束>を手にする。
一方エバは様々な事情を経て、アンウィンのいる王城へ送られる。

エルフギフトを討つべく異界へ出向いたウルフウィアードは、そこで女神の意図を知らされ、異母兄エルフギフトに魅せられる。二人は双子と言っていいほどよく似ていた。
賢人会議はアセルリックを次代の王に選んだ。儀式の進む中、エルフギフトとウルフウィアードが現われ、アンウィンはラヴァン王の国へ亡命する。
アンウィンは城にいるデーン人の王子イングヴァイと親しくなり、エルフギフトを<血染めのワシ>の刑にすることを打ち明ける。
イングヴァイの兄でデーン人の族長イングヴァルドが、ラヴァン王の城にやって来た。そのとき隻眼の竪琴引きウドゥが現われ、イングヴァルドに接近してラヴァン王の宮廷に紛れ込んだ。
ラヴァン王とイングヴァルドは、アンウィンに助力することを決定。アンウィンの指揮の元、サクソン人の国へ兵を差し向ける。

********************

癒しの手と魔眼の持ち主で、オーディーンの戦士エルフギフト。対するはキリスト教徒の異母兄アンウィン。二人の間で葛藤するウルフウィアード。
現世と異界、生者と死者、神々と人間、愛と憎しみが交錯する糸で織り成されるファンタジー。怒涛の展開となるのは下巻の半分以降から。下巻前半は少々冗長気味かな。
勝利者はエルフギフトかアンウィンか?エバはどんな役割を担っているのか?オーディーンの約束の結末は?と気になることが満載なのだが、物語はそれほど単純ではなかった。

物語は神話世界へと拡がるのですが、死と再生へ至るまでの道のりが生半可ではありません。それこそが、まさにスーザン・プライスの真骨頂。
プライスの世界観は、物語が終わってもそれですべてが調和するのではなく、一過程に過ぎないように思われます。
再生して終わり、ではなく、いつの日にかまた、世界は同じような苦しみを経て変わっていくのだろうと予感させられるのです。それはまるで世界が脱皮するために伴う苦しみのよう。世界は脱皮の苦しみを連鎖していくのだろうと思わせられました。

他のプライス作品同様、プライスの魅力はその世界観、欲望と裏切り、死と再生へと至る残酷なまでの圧倒的な描写力、そこから立ち昇る血と鉄と土の香気にあると思います。
しかし、この作品では原文が持っているであろう迫力や香気や欠けるような。滑らかな訳なのですが、無味無臭で平板に感じられてしまって・・・。訳が文意の表面だけをなぞって上滑りしていると言うか。なんだかプライスの魅力が減じてしまったように思われて、それがちょっと残念でした。(2002/11/23)

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