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オレンジ党と黒い釜/天沢退二郎

オレンジ党と黒い釜
天沢退二郎

My評価★★★★

カバー画・挿画:林マリ
筑摩書房(1978年6月)[絶版]
8093-88024-4604


ルミとお父さんは、昔お母さんとお父さんが住んでいた家に引っ越してきた。ルミのお母さんは、ルミが生まれてすぐに亡くなっている。
六方小学校へ転入した翌日は日曜日で、ルミとお父さんはピクニックへ出かけたが、「だんだらぼち」でお父さんが消えてしまった!?その墓地には、不気味な「黒いもの」がいた。
墓地から逃げ出したルミはとき老人と出会い、李エルザ、由木道也、竜竜三郎、名和ゆきえ、森コージらの<オレンジ党>を知る。

この世界には三つの魔法がある。
死の世界からくる<黒い魔法>は、水に潜み動植物や大地の生命を奪う。よくも悪くもない<古い魔法>は土に住む。そして生命の源を司り、樹木に宿る<時の魔法>。とき老人は<時の魔法>に属していた。

20年前、「グーン」と呼ばれる<黒い魔法>の手先がこの地にはびこっていた。<黒い魔法>と<時の魔法>は戦い、ルミたちの母親らの活躍によって勝利を得た。
しかし10年ぐらい前に、また「黒いもの」が動き出した。<時の魔法>は<古い魔法>の助力を得て、黒いものを5つの釜に封じたが、ルミたちの母親が犠牲となった・・・。
しかし最近、<古い魔法>の動向がおかしい。とき老人とオレンジ党は、<黒い魔法>や<古い魔法>によって黒いものが解放される前に、5つの黒い釜を見つけ出して破壊することにした。
黒い釜の埋められた場所を記した地図は、<古い魔法>の牙城「千早台小学校」にあった。

********************

オレンジ色のバッジをつけた、少年少女探偵団ばりのオレンジ党の活躍。子ども向けの溌剌としたファンタジーかと思いきや、ドキッとするほどダークなファンタジーでした。
時代背景は古いけれど、作品のトーンは古びてないですね。不気味な雰囲気や重さは現代にも通じるはず。

木造の陸橋のある駅、未開地のただっぴろい野原、放置され草に埋もれたレール。
現代のちょっとした地方都市は、どこも同じように都市化しているので、よほどの田舎でなければ見ることができない風景。
自然の豊かさや土地の起伏とは別に、ときにはガランと侘しかったり殺伐として感じられる風景が、物語のトーンとマッチしてますね。広々とした風景、田畑や牧草地を思わせる空気から、懐かしさを感じさせられました。

現在のファンタジーには、自分は何者なのか、自分は何を求めているか、自分の居場所はどこかという、いわば「自分探し」のテーマを扱ったものが多いように思います。そういう作品に慣れた人は、この作品は物足りなく思えるかもしれません。
また、「光と闇の戦い」というと、ありきたりに感じるかもしれません。ですが、光と形容するにはとても生臭い物語なんですよ。私がこの作品を不気味と感じるのはその点にあります。
光であるべきオレンジ党員が使命をまっとうすることは、同時に母親の復讐を成し遂げることでもあるんですよね・・・。しかも<黒い魔法><古い魔法><時の魔法>が三つ巴に戦うわけです。

この作品だけでは判然としないのですが、<古い魔法>はブルドーザーや塵芥処理所(研究センター)などの科学(化学)の力を取り入れている、あるいは取り入れようとしているよう。
そう考えると、光と闇の戦いが何を意味しているのか、朧げながら浮かび上がってくるような。ただし<古い魔法>自体はよくも悪くもない。「光と闇の戦い」という二元論と考えるには、作者の書き方は微妙なので、一概に割り切れないふしがあります。(2002/2/25)

追記:2004年10月、ブッキングより復刊しました。【Amazon

+オレンジ党と黒い釜
魔の沼
オレンジ党、海へ
オレンジ党 最後の歌

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