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光車よ、まわれ!/天沢退二郎

光車よ、まわれ!
天沢退二郎

My評価★★★★★

解説:三木卓
カバー画・挿画:司修
ちくま文庫(1987年5月)[絶版]
ISBN4-480-02138-8 【Amazon


雨の日、教室に遅刻して入ってきたクラスメイトを見た一郎は、心臓が停まるほど驚いた。彼らが黒い化け物としか言いようのない異様な姿に見えたからだ。だが、先生をはじめ他の生徒たちは気づかない。どうやら一郎だけにしか化け物に見えないらしい。
そのときから一郎の周りで奇妙なことが起こり始める。

化け物に追われていた一郎は、クラスメイトの龍子に助けられた。そして彼女たちのグループが、「水の悪魔」と呼ぶ化け物と戦っていることを知る。
戦いに勝つそのためには、三つの「光車(ひかりぐるま)」を手に入れなければならない。光車は三つ揃って一組となるが、それぞれどこかに隠されている。一郎たちは光車を探し始める。

同じ頃、ルミの住む町でも異変が起きていた。だが黒い化け物を見た人たちは、緑の制服を着た男たちにどこかへ連れ去られてしまう。ルミのママも連れ去られてしまった。町で何が起こっているのか?緑の制服の男たちは何者で何が目的なのか?
ルミは龍子や一郎たちと合流し、ともに光車を探索に乗り出す。ルミはウラ側の世界を旅し、この地下の世界がオモテの世界に叛乱を企てていることを知る。
真の敵は何者なのだろう?三つの光車が揃ったとき、果たして何が起こるのか?

********************

1973年に同社から単行本が刊行。1983年に新装版(単行本)として再版されています。発行年とストーリーからいって、『オレンジ党と黒い釜』他オレンジ党が活躍するシリーズの前身といった感じでした。

ルミや一郎たちが侵入したウラ側の世界。そこは死の国。その死の国が、オモテの生の世界に叛乱を起こした!単純に言ってしまえばそういうことなのですが、実はもっと複雑。単純に生と死の対立、とは考えられない内容なのです。
子どもたちのグループの対立、地下世界に住む土色の人たちといった、ダークなファンタジー。このダークさは、どこか不安感を伴っています。
龍子・一郎・ルミたちは、日常世界を揺るがす怪異に対抗する。確固たるものと思っていた日常世界は、実はとても不安定であり、確かなものは何もない・・・。オモテとウラという二つの世界の境界の危うさ。それがこの作品のが発している不安感の一つではないでしょうか。

三つの光車がまわったところは圧巻でした。光車によって龍子や一郎たちは一旦は事件を治めるが、これですべてが終わったわけではありません。
なぜ事件は完全に終結しないのか?
そのわけは、死の国の王が叛乱を起こした原因が何なのかにあると思います。でもその原因が、奥歯にものが詰まったような書き方でよくわからないからスッキリしないんですよねぇ。
そもそも死の国とは何者なのか、重層的な存在なのでわかりにくい。つまり、龍子たちの戦っている相手が何なのかがわかりにくかった。作者自身も書き足りなかったのではないでしょうか。だからこそオレンジ党のシリーズが書かれたのではないかと思います。
ともあれ異色のファンタジー。世界の不安定さ、均衡の危うさを描き出した優れた国産ファンタジーだと思います。(2004/3/16)

追記:
2004年8月、ブッキングより単行本にて復刊。 【Amazon
2008年9月、ピュアフル文庫より刊行。 【Amazon

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