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死神よ来たれ/ピーター・S・ビーグル

死神よ来たれ
ピーター・S・ビーグル

My評価★★★★☆

訳:伊藤典夫
講談社文庫『ファンタジーへの誘い 海外SF傑作選』所収(1977年10月)[絶版]
0197-370190-2253(0) 【Amazon】
原題:Come Lady Death(1963)


1963年度、O・ヘンリー賞受賞。
ジョージ一世(1660-1727)治世下のロンドン。ロンドンで最も賢く機知に富むと言われるフローラ・ネヴィル公爵夫人は、イングランド有数の貴族はもとより、国王も出席する盛大なパーティー催していた。
高齢の公爵夫人には、パーティーを催す他には何もすることがなかった。だが最近、自分のパーティーにすらも退屈してしまった。
そこで公爵夫人は、次の舞踏会には自分も含む誰もが退屈しない客を招くことを思いつく。その客とは死神その人。
公爵夫人は、病気で生死をさまよう息子を持つ髪結い師を呼び、死神宛ての招待状を持たせる。

二週間後、舞踏会が催された。大時計が深夜12時を打つが、いまだ死神は到着しない。内心で死神を恐れている紳士淑女たちがホッとしたころ、白いドレスを纏った19歳ぐらいの美しい娘が現れる。
彼女こそ死の女神だった。彼女は舞踏会に招かれたことを喜び、ダンスを愉しむ。はじめ人々は彼女を恐れ、女性たちは彼女の美しさを嫉妬していたが、夜明け間際になって彼女が帰ろうとすると、誰もが引き止めるようになる。
彼女は人々の賛意を得た上でパーティーに留まろうとするが、そのためには誰かが代価を支払わなければならない。その代価とは・・・。

********************

この文庫は伊藤典夫編のアンソロジーです。
パーティーに現れたのは、いまだ少女の面影を宿す孤独な女性だった。彼女の姿と性格はたおやかで清々しく、死神というイメージからはほど遠い。人々から恐れられ忌み嫌われる存在というイメージが、見事に覆されています。
公爵夫人は傲慢で冷酷ですが、そんな夫人だからこそ、死の女神を最も理解できるのかも。しかし死の女神を前にしては、人間としての傲慢さも冷酷さも溶かされてゆくように感じられました。

物語の結末には陰惨さ陰気さはなく、甘酸っぱいような爽やかさとせつなさ、ほろ苦さが絶妙にブレンドしているよう。
死神が代価を求めるという作品は結構あるけれど、こんなラストを書くことができる作家はそうはいないでしょう。短編はラストが命と言うけれど、本当にそうだと思いました。(2003/8/27)

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