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航路/コニー・ウィリス

航路
コニー・ウィリス

My評価★★★★☆

訳:大森望
ソニー・マガジンズ,上下巻(2002年10月)
上巻:ISBN4-7897-1933-2 【Amazon
下巻:ISBN4-7897-1934-0 【Amazon
原題:PASSAGE(2001)


デンヴァーのマーシー総合病院で、NDE(臨死体験)の研究をする女性認知心理学者ジョアンナ・ランダー。
ジョアンナは臨死体験者に聞き取り調査を行い、NDEのパターンを見出そうとする。NDEに共通するのは「トンネル」と「暖かさ」「光」などだ。
彼女は長い間昏睡状態にある、コーマ(昏睡)・カールのうわごとを書き取るよう看護婦に頼んだりしていた。
マーシー・ジェネラルには、作家マンドレイクがいた。科学的にアプローチしようとするジョアンナに対して、神秘や宗教学、超常現象として捉えているのがマンドレイク。彼は神ががり的な臨死体験本をベストセラーにさせ、次作の取材のために滞在中だった。
ジョアンナにとってマンドレイクは天敵!ミスター・マンドレイクは自説に有利となるよう被験者を誘導するので、彼の接触した後では記憶が歪曲されて作話してしまうからだ。

ジョアンナはキュートな神経内科医のリチャード・ライトから、共同研究を持ちかけられる。
そのプロジェクトは薬によってNDEを疑似体験させ、スキャンした脳の神経伝達物質と働きを調べることによって、死のプロセスを解明して心停止した患者の蘇生に応用しようというもの。
二人は被験者を集って実験を始めるが、思うように被験者が集まらない。助成金を得るために報告書を提出しなければならないのだが、期限内に思うようなデータが得られないでいた。
ついにジュアンナは、自らが被験者となることを志願した。
ジョアンナはNDEで視た光景がどこなのかを調べる。その場所を悟ったとき、自分がなぜその場所にいるのか、鍵は高校時代のブライアリー先生にあると考えるが・・・。
ジョアンナの視たNDEの世界とは?NDEは何を意味しているのだろうか?すべてを理解したときジョアンナは!?

********************

2002年度のローカス賞を受賞。
うっかりするとネタをバラしそうなので、当り障りのないことを。
臨死体験の意味を問い、死へのプロセスを解明する、エンターテイメント性たっぷりの小説。医学用語を知らなくても楽しめました。
上巻は展開がゆるやかなので、一体この話はどこに向っているのか検討つかなかったのですが、下巻で物語は加速度を増します。初めは上巻が長すぎると思ったけれど、この上巻があってこそ下巻が意味を成すんですね。
NDEの意味が突き止められてゆくところは、まさにサスペンス。私としては解明されていく部分がいちばん面白かったです。

作者は同じイメージを手を変え品を変えて、幾重にも積み重ねています。マーシー・ジェネラルの構造がNDEを象徴しているところは、なるほどなあと感心しました。
作者はよほどハリウッド映画が好きなようで、パニック映画の常套手段、空間の閉鎖性とタイムリミットが存分に生かされていました。
またジョアンナとヴィエルによって、映画のタイトルが頻繁に登場します。映画を知らなくても問題ないが、知っていた方がより楽しめるのでしょうね。
私は「こんちゃ、ドク」と言って登場するミスター・ウォジャコフスキーが好きだな。彼が登場することによって緊張感が緩和されるのです。いわば道化師役ですね。
気になるのはリチャードのポケット。一体どうなっているのだろう?これもまたコミカルな部分。
シリアスな流れの中、細部にコミック的な仕掛けをするウィリス。上下巻ともに約410ページ(しかもニ段組)の長編を細部までキッチリと仕上げているのだから、職人気質の作家なのでしょう。(2002/10/26)

追記:2004年12月、ヴィレッジブックス化【Amazon:上巻】【Amazon:下巻

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