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ジョン・シャーマン/W・B・イェイツ

ジョン・シャーマン
W・B・イェイツ

My評価★★

訳:渡邉孔二
吾妻書房(1988年4月)[絶版]
ISBN4-7516-0146-6 【Amazon】
原題:John Sherman(1888)


アイルランド西部の町バラで母親と暮らす青年ジョン・シャーマン。彼は園芸を趣味とし、釣りをして日々を過ごしていた。夢は大都市へ出て、お金持ちの女の子と結婚してのらりくらり暮らすこと。
ロンドンに住む伯父はそんな彼を見兼ねて、自分の会社で働かないかと誘っていた。伯父に後継者がいないからだ。
しかしシャーマンはなかなか町を出る決心がつかない。そこで友だちのメアリー・カートンの意見を訊きに行く。
メアリーはシャーマンに、ロンドンで可能性を試すよう勧める。

シャーマン一家はロンドンに出た。シャーマンはマーガレット・リーランド嬢と知り合い、婚約に漕ぎ付ける。
彼は婚約した旨の手紙を知り合いに送るが、メアリー宛の手紙だけは、なぜか書き終えることができなかった。そこで直接会って伝えようと、バラを再訪。メアリーと再会したシャーマンは、自分が彼女を愛しており、彼女もまた自分を愛していることに気づく。また自分がアイルランドの田舎町に愛着を持っていることにも。

ロンドンへ戻ったシャーマンは決断を下せずに、これまでどおりの生活を続けていた。リーランド嬢はいつまで経っても垢抜けないシャーマンにイライラ。
ある日シャーマンは、都会風に洗練された友だちの牧師ハワードを、一緒に秋を過ごさないかと自宅へ招く。

********************

アイルランドの詩人・作家William Butler Yeats(1865-1939)が、20代前半に書いた中篇小説。
リーランド嬢と婚約したシャーマン。リーランド嬢は確かに移り気なのですが、良くも悪くも自分の感情に正直なんですよね。
シャーマンはメアリーへの思いに気づく。だが、自分から婚約解消を言い出せないため、友だちのハワードを利用する。
シャーマンは誰からも嫌われたくない、且つ自分が傷つきたくないので姑息な手段を使う。結果的に自分が同情を買うように仕向けるのです。この卑怯者が!
正直に言えば、全てにおいて凡庸な小説なので、イェイツの作品でなければ今日まで残っていたかどうか疑問。

イェイツはアイルランドの文芸復興に携わり、ケルトの民話を伝説を暑かった幻想的な作品で知られますが、20代前半に書かれたこの作品は、ケルト民話といった内容ではなく、実社会を舞台にしたごく普通の小説というのが意外でした。
しかし、すでにアイルランドへの傾倒ぶりが伺えます。傾倒と言うより、アイルランドへの回帰を宣言しているかのよう。本作はイェイツ研究という点において、興味ある作品かもしれません。
近代化する大都市ロンドンより、自然溢れるアイルランドの田舎、流行より鄙びたもの、現在ではなく過去への愛着を表明しているのです。
またメアリーのように、母性的な愛情で男性を包み込む女性に憧れているようですね。その女性観は、対等な恋愛関係より母親のような慈愛を求めているみたいです。(2003/2/15)

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