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第三の男/グレアム・グリーン

第三の男
グレアム・グリーン

My評価★★★★

訳:小津次郎,解説:川本三郎
ハヤカワepi文庫(2001年5月)
ISBN4-15-120001-0 【Amazon
原題:THE THIRD MAN(1950)


映画『第三の男』(1949,英)の原作と言いたいところですが、原作というのとはちょっと違うんですよ。
通常なら原作があってそれを元に映画が製作されるのですが、この場合は映画のために原作が書かれたのだそうです。この間の経緯については、作者による序文で詳しく触れています。

ロロ・マーティンズは友人のハリー・ライムに招かれて、イギリスからウィーンへやって来た。だが到着直前に友人は事故で死に埋葬されるばかりだった。
墓地でマーティンズは、それとは知らずにイギリスの警察官・キャロウェイ大佐と知り合う。
実はキャロウェイは、生前のハリー・ライムの犯罪捜査をしていた。マーティンズはキャロウェイから、ハリー・ライムが悪辣な闇商人だったと知らされ、友人の無実を立証しようとする。
マーティンズは事故現場に居合わせた人々の話を聞くうちに、友人の死に不可解さを感じ始める。
検証では事故当時の現場には被害者と加害者、そして二人の男がいた。だが、もう一人「第三の男」がいたと言う目撃者が現われた!
マーティンズは、友人は第三の男に殺されたのではないかと考える・・・。

********************

グレアム・グリーン(1904-1991,イギリス)が映画のために執筆したのが本作。
解説によると、原作と映画とではいくつか異なる箇所があり、一部を挙げると、映画では名前と人種が変更されている登場人物がいたり、原作ではヒロインがソ連軍に逮捕されるのですが、映画ではこの部分はカット。これらはストーリーにそれほど影響はないのですが、決定的に異なるのはラストがまったく違うこと!
原作では大々的ではないにしても間違いなくハッピー・エンディングを匂わせているのですが、映画では苦さのあるアン・ハッピー・エンドに変更されています。
どちらのラストがいいかと言うと、序文で作者が自認しているのですが、断然映画のほうがいい。その理由は解説者と同じ。ただ、解説はネタバレがあるので注意。
ともかく、ラストの相違が映画を名作たらしめているのだと思います。

ウィーンと言えばハプスブルク家による奢侈で退廃的な都、言わばデカダンスというイメージがあるのですが、映画でも原作でも、描かれるウィーンは大戦直後の廃墟。
映画では第二次世界大戦直後のウィーンの状況がよく理解できなかったのですが、原作では作者が現地取材しただけあって詳しく触れています。
当時のウィーンは、アメリカ・イギリス・フランス・ソ連軍がそれぞれ占領地区を持っていて、各国間で警察協定を結んでいたのだそうです。しかし西欧三ヶ国とソ連軍との間では、協定において摩擦があった。このことが作中における重要なポイントになるのです。

『第三の男』というタイトルを目にするたびに、反射的にツィターのメロディーが鳴り響いてしまう。地下での追跡劇と観覧車のシーンも思い浮かべてしまいます。
どうしても映画のシーンが頭に浮かんでしまったりして、映画と比べてしまうんですよねえ。それほど映像的にこだわりがあり、印象的なシーンが多かったということでしょうか。
しかし本作を読んでも映画の魅力が褪せることはなかったです。本作を読むことにより、改めて映画のよさがわかるように思いました。(2001/6/11)

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