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カネック/エルミロ・アブレウ・ゴメス

カネック あるマヤの男の物語
エルミロ・アブレウ・ゴメス

My評価★★★

訳:金沢かずみ
挿画:野々口泰代
行路社(1992年7月)
ISBNコードなし 【Amazon】
原題:CANEK(1944)


18世紀中頃、マヤ人たちはインディオと呼ばれ、スペインの植民地政策下にあった。
農園主の甥グイは夢想家だが、その善良さゆえに周囲から浮いていた。グイの話を聞いてあげるのはインディオのハシント・カネックだけ。二人は穏やかで平和な時をすごす。だが、グイは幼くして病で亡くなる。

グイの死後、カネックは白人に支配された土地でインディオとしての生き方を説く。次第に白人の迫害が苛酷さを増し、インディオたちの苦しみが増してゆく。
温厚なカネックは元々反乱しようという意思はなかったが、自由と人間の尊厳を取り戻すため、遂に戦うしかないと決断する。

********************

エルミロ・アブレウ・ゴメス(1894-1971,メキシコのユカタン半島ノリダ市生れ)。教師・小説家・劇作家。
-本作は小説ですが、ハシント・カネックは実在した人物なのだそうです。オリジナルのカネックの逸話は、現代でも語り継がれているとのこと。
作者もカネックの逸話を聞いて育ったのでしょう。その逸話を作者の経験によって、小説として構成し書き記したのが本書。メキシコでロングセラーを続けているのだそうです。

マヤ人たちはスペイン人による植民地政策に対して、何度も反乱を起こしたそうです。1761年にシステイルで起こった反乱が、もっとも新しい反乱とのこと。このときシステイルの首長は村を要塞化し、他の首長に呼びかけ、1500人を越える反乱軍を募った。システイルの首長はイツァ族の指導者名をとって「カネック」と改名。
スペインの支配から逃れていたイツァ族の『チラム・バラムの書』には、かつて全ユカタンを支配していたイツァの王がいつの日にか戻って来て異国人を海へ追い払うであろうと、予言されているのだそうです。
一時カネック(システイルの首長)は戴冠し国を統治するが、スペインの軍隊に攻撃された。1761年12月14日、カネックたち反乱軍は捕えられて処刑される。
だが、カネックの名は絶えることなく引き継がれ、1847年(カースト戦争が始まった年)に、ハシント・カネックの名が蘇ったといます。この戦争初期に、カネックの名が革命のスローガンとなったとのこと。

つまり「カネック」とは、メキシコやユカタン半島の人々にとって、特定の個人を指しているのではなく、独立精神のシンボルなのでしょう。カネックとは民族のあり方を示す名なのかもしれません。だから、作中で彼の顔をイメージできないようになっているのだと思います。

子ども理解できるよう平明に書かれているのですが、植民地時代の歴史をある程度知っているのといないのとでは、作品の重みが非常に異なると思います。
ただ、作者は歴史的真実を書くことを重要視していないような印象を受けました。ラテンアメリカの歴史を紐解けばわかるのですが、実際にはもっともっと苛酷なんですよね。
でも作者は苛酷な時代を描こうとしたのではなく、彼らの血に脈々と伝わっているであろう自由・独立・平等を求める精神を記したかったのではないのでしょうか。私は民族的精神の指標を示した作品のように思いました。(2003/6/20)

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