スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

経済学殺人事件/マーシャル・ジェボンズ

経済学殺人事件
マーシャル・ジェボンズ

My評価★★★★

訳:青木榮一
日経ビジネス人文庫(2004年2月)
ISBN4-532-19213-7 【Amazon
原題:The Fatal Equilibrium(1985)


ハーバード大学で、恒例の昇任・終身任用資格審査委員会が行われる。これは各学科から選出された数名の教授陣が、各学科から推薦された助教授の業績を査定し、教授として適正であるか選考し昇任するための委員会。
委員は経済学のヘンリー・スピアマン教授を含む9名。この期間、委員は候補者と個人的な接触を禁じられており、委員会での討議内容は極秘とされる。

スピアマン教授は、自分の学部からデニス・ゴッセンを推していた。だが委員会はゴッセンを否認。直後、ゴッセンは自殺体として発見された。昇任されなかったため絶望して自殺したものと思われた。
しかし、その後ゴッセンを否認した二人の教授が殺された。ゴッセンの婚約者ソフィーの怨恨による犯行とみなされた。しかしスピアマン教授は釈然としないものを感じていた。

********************

経済学の初歩的な事柄を、ミステリーを読みながら知っていく小説。
マーシャル・ジェボンズとは、トリニティ大学のウィリアム・ブレイト教授と、バージニア大学のケネス・G・エルジンガ教授という、二人の経済学者の合作のペンネーム。
現役経済学者による経済学の基本的な考え方、功利主義・消費者余剰・限界効用説・効用極大化理論などを、ミステリーに絡めてわかりやすく解いた作品。原題は『死を招く損得計算の均衡点』という意味だそうです。
主役のスピアマン教授は、経済学者のミルトン・フリードマン教授をモデルにしているらしい。もっとも私にはフリードマン教授といっても名前しかわからないけど。スピアマンという姓は、計量心理学者で行動統計学のスピアマンからきているはず。

消費者余剰とか効用極大化理論という経済用語を聞かされても、何のことかサッパリわからないのですが、実は私たちが日常で頻繁に経験していることなんですねえ。
もっとも私を含め多くの人は、理屈ではなく経験に基づいて行動しているだろうと思います。しかし、それがどういう論理で行われているかは、絶対に意識していないと思う。
それらの論理を、スピアマン教授が噛み砕いて具体的に説明してくれます。私たちが、日常生活でどのような経済活動(この場合は消費活動)をしているのかがわかるのです。そこがこの作品の面白み。
新聞の自動販売機(日本にはないと思うのですが)と缶ジュースの販売機との販売方法の違いや、企業が広告をしなかったら商品の価格が高くなるということも興味深かったです。知ったからといって、どうなるものでもないのだれど。
わかりやすく説明してくれるのだけれども、経済学って、結局は実生活とはかなりかけ離れたところにあると思うんですがね・・・。

ここまで書いたけど、実は完全にネタバレしています。でも支障はないかと。
スピアマンが犯人を知る手がかりとなる箇所は、読んでいて引っ掛かりを感じる書き方がされているのですが、私のような経済学のド素人には、何に疑念がもたれられているのかまったくわからなかった。スピアマンの説明でやっと理解できました。
経済学のピギナーにはわかりやすく、軽い気持ちで読むにはちょうどいい。経済用語が解説されるところが楽しかった。また、教授陣の趣味がグルメやバードウォッチング、切手収集など様々で、そういった部分も楽しめました。
ただミステリーとしては、率直に言っていい出来とは言えません。ミステリーというよりは、知的クイズといった感じかな。
あくまでも経済学をわかりやすく伝えるためにミステリーを絡めたものなので、ミステリーとして期待しすぎないよう。ミステリーとしての満足度は低いけれども、経済学の本当に初歩的な入門書としては、わかりやすくて読みやすいし面白かったです。(2004/2/9)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。