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ウィンターズ・テイル/マーク・ヘルプリン

ウィンターズ・テイル
マーク・ヘルプリン

My評価★★★★★

訳:岩原明子,解説:高橋源一郎
ハヤカワ文庫FT(上下巻,1987年1月)[絶版]
上巻:ISBN4-15-020093-9 【Amazon
下巻:ISBN4-15-020094-7 【Amazon
原題:WINTER'S TALE(1983)


19世紀末のマンハッタン。マンハッタンには時折り『雲の壁』が発生し、壁の向こうに何があるのか誰にもわからない。雲の壁の近くハドソン川を隔てた沼地には、カヌーに乗り貝を採って生活する<ベイヨン・マーシュ>と呼ばれる人々が市から孤立して暮らしていた。
ベイヨン・マーシュの人々に育てられたピーター・レイクは、彼らの間で成人とみなされる歳にマンハッタンへ向かって機械工となった。しかし様々な事情から、やがてショート・テイルズ団員(盗賊団)となる。ピーター・レイクはパーリー・ソームズ率いるショート・テイルズ団を裏切って追われていたが、偶然現れた白馬によって危機を脱する。
白馬を『アサンソー』と名付けたピーター・レイクは、泥棒に入ったサン新聞社の社主アイザック・ペンの屋敷で、アイザックの娘ベヴァリーと出会う。恋におちた二人は、アサンソーに橇を引かせて、ペン家の人々とともにクリスマスを過ごすべく『コヒーリズ湖』へと向かう。

ある冬、食糧難となったコヒーリズ湖を出たヴァージニアは、赤ん坊を連れてマンハッタンへと向かった。ニューヨークに辿り着いたヴァージニアは、サン新聞社の職にありつく。サンフランシスコに住むハーデスティは、「完全なる正義の都」を探して旅に出る。紆余曲折を経てニューヨークへ着いたハーデスティは、サン新聞社に勤める。

百年の時を超えて、ピーター・レイクがマンハッタンに現れた。だが彼は記憶を失っていて、自分が何者なのかどこから来たのかわからなかった。白馬アサンソーもまた人々の前に姿を現し、ひたすら時を待つ。
新たな千年王国、20世紀を迎えつつあるニューヨークに、突然巨大な船が現れた。ハーデスティとヴァージニア、編集主任プレイガーたちは船の正体と目的を調査するが、何も探り出せないでいた。折りしも市長選挙が始まり、プレイガーが出馬。驚異的な寒波に見舞われたマンハッタンで、プレイガーの選挙演説は民衆を魅了し、人々はしばし冬の世界に浸り、穏やかに新千年王国の「黄金時代」を迎えようとする。
いよいよ新千年王国が始まろうとするとき、突如ニューヨークに暴動が発生。暴動を指揮していた者の正体は!?謎の船の責任者ジャクソン・ミードの目的、彼らとピーター・レイクの関わりとは?

********************

魅力溢れた登場人物、時間的なスケールの大きさなど、独創的で面白かった。ファンタジィというジャンルに捉われない魅力的な作品。
グランド・セントラル駅の美しい星座が描かれた丸天井(これは現在もあり、とても綺麗で典雅な趣きがある)から、ハーレム川の底部のトンネルなど、ピーター・レイクとショート・テイルズ団が、19世紀のマンハッタンを縦横無尽に駆け巡る。
泥棒の主人公やベイヨン・マーシュの人々。恐ろしげな外見にも似合わず美しいものに憧れ、ついには高い塔のような宮殿と黄金の部屋を作ろうとするパーリー・ソームズ。夢みたことが実現するヴァージニア。旅の途中でハーデスティが出会う、自信満々に言ったことが必ず失敗するジェシー。最後のベイヨン人アビスミラード。サン新聞社と対立するゴースト新聞社のクレイブ・ビンキーなど、奇怪な人物が多数登場する。私は俗物のクレイブ・ビンキーが好きだな。『ビンキー語録』なんて言われるほどだし。

後半はストーリーが複雑になりすぎたためか、登場人物の多さのためか、彼らの魅力が生かされていないのが残念。またジャクソン・ミードは何者なのか。そもそも彼はどこからどうやって力を得たのか。ムートファウルが存在するのに、なぜベヴァリーは現れないのか。彼らを動かしている意思は、誰によってどこから来るのか。
おおよその見当はつくのだが、雲の壁とは一体何なのか、もっとハッキリ示唆してほしかった。地図になく辿り着くのが困難なコヒーリズ湖の役割り、これも説明不足のように感じられる。いろんな謎がきちんと解明されていないので欲求不満気味になった(私が理解できないだけかもしれないが)。ハッピーエンドとは言い切れないラストより、私はどちらかと言えばハッピーエンドが好き、ということも不満の一つだったりする。
いろいろ不満を挙げているが誤解しないでほしいのは、つまらないからではない、面白いからだ。だからこそ、ちょっとしたところに引っ掛かりを覚えるのが惜しくてならない。(2002/1/26)

追記:『ニューヨーク 冬物語(ウインターズ・テイル)』のタイトルで映画化(2014年,米)に伴い、2014年3月、ハヤカワepi文庫(上下巻)【Amazon:上巻】【Amazon:下巻】から復刊。

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