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サン・ジャンの葬儀屋/ジョエル・エグロフ

サン・ジャンの葬儀屋
ジョエル・エグロフ

My評価★★★☆

訳:松本百合子
角川書店BOOK PLUS(2000年12月)
ISBN4-04-897309-6 【Amazon
原題:Edmond Ganglion & Fils(1999)


フランスのありふれた田舎町サン・ジャン。教会と町役場以外にたいしたものはなく、過疎化が進んでいる。
商店街には「エドモン・ガングリオン&サン」という名の葬儀屋がある。かつては盛況を誇っていたこの葬儀屋も、数ヶ月も仕事がなくていつ潰れてもおかしくない状態。
それというのも、亡くなるべき高齢者はとうに亡くなり、しかるべき年齢に達した人がいなくなったからだ。過疎化で住民の数が減ったこともある。
葬儀屋にはこの道のプロで定年間近のジョルジュと、若いモロが勤めている。

ある日ついに死人が出た。モロとジョルジュの乗った霊柩車は、遺族の車を従えて指定された墓地へ向かう。
道を知らないモロは「道を間違えたら後続の遺族が知らせてくれるだろう」、遺族は「葬儀屋が道を知っているだろう」と思いながら。
しかし、いくら車を走らせても墓地に着かない。悪いことに2台の車は途中ではぐれてしまった。
道に迷ったモロは、なぜか海岸へ出る。そして夜の浜辺で一夜を明かす。
翌朝ふたりは墓地を目指すのだが、モロが居眠りをして車を溝にはめそうになり、棺や花輪がドアから飛び出して道に散乱してしまった。しかも棺から死体が飛び出していた。あろうことか死体から一筋の鼻血が!?

********************

ミステリーではなくブラックユーモアといったところ。意外なオチにアッと言わせられました。
中小企業の不振や、過疎化や高齢化という今日の社会問題が、軽妙なブラックユーモアに包まれていました。
過疎化の進む町の様子が、どこかのんびりと描かれている。どこにでもいそうな人々による何気ない日常が描かれているから、のんびりしているように感じるのかな。町の人々にとっては切迫した状況なのに、どこかのほほんと感じられるんですよねえ。

登場する人々も、なんかヘン。オレンジジュースを注文されてもプラム・ブランディを勧める「カフェ・ド・ソレイユ」のジュール。犬にこだわる司祭と聖堂守のヴィンツ。どこというほどではないはずなのに印象的な人々が登場して、それぞれに真面目なんだけど、どこかおかしみがあるんですよ。

ジョルジュとモロはどこにでもいそうな人物。ジョルジュは勤勉で人あたりがよく常識的。モロは「変わっている」と言われるタイプ。
騒ぎが嫌いで効率を求めるジョルジュと、そんなことには全く頓着しないモロとの対比がおかしみを醸し出しています。
でも読んでいる間、モロにはイラッとさせられました。「君の言いたいことはわかる。だけどそんな場合じゃないだろう」と言いたくなるんですよ。モロは人がいいのでおしゃべり相手にはいいけれど、仕事では組みたくないな。でもそれは、ジョルジュと同じ眼でモロを見ているということなのですね。
ラストで、ジョルジュとモロのどちらが人間らしいか、どちらの人間になりたいだろうか。そう思ったら、モロが好きになりました。

電車の中やプールサイドでの気だるい夏の昼下がり、サラリとしたものを読みたいときにうってつけ。ほどよくブラックで、ほどよく洒落ていて、薄い本なのですぐに読み終えれるところがいいね。
読後、真夏の夜の海に行きたくなりました。(2001/5/11)

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