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マルコヴァルドさんの四季/イタロ・カルヴィーノ

マルコヴァルドさんの四季
イタロ・カルヴィーノ

My評価★★★☆

訳:安藤美紀夫
カバー画・挿画:セルジオ・トファーノ
岩波少年文庫(1977年11月)[絶版]
ISBN4-00-112084-4 【Amazon】
原題:MARCOVALDO(1963)


四季を通じて都会暮らしのマルコヴァルドさんを描く連作短編集。
ズバーブ商会に勤めるマルコヴァルドさんには、奥さんと4人の子どもたちがいます。都会に住むマルコヴァルドさんですが、看板やネオンサインや信号よりも、停留所のそばに生えたキノコや迷い込んだヤマシギの群れを見逃しません。ときには家族に新鮮な魚を食べさせてやりたいと釣りも。
薪のなくなった寒い冬の夜にはノコギリを持って、ベニヤ板で出来た広告の乱立する「高速道路の森」へと向かうのですが。

さて、子どもたちは組織を作り、郵便箱に入れられたチラシと交換でもらえる洗剤を集めて、それを換金してお金持ちになろうとします。しかし集まった大量の洗剤を処分しなければいけなくなってしまいました。その結果、都会に不思議な光景が・・・。
季節の移り変わりに敏感で、空想好きで思いついたことは何でも実行しなければ気のすまないマルコヴァルドさん。その結果は!?

********************

マルコヴァルドさんは労働者階級に属し、低賃金で奥さんと子どもたちを養っています。クリスマスには超過勤務手当てのために、せっせと働きます。ときには奥さんのことをぼやいたりと、どこにでもいる家庭持ちのおじさん。世間一般の人と違うのは、突飛なことをすることでしょうか。
そんなマルコヴァルドさんの空想的な物語とはいえ、作者は現実社会をあくまでもシビアーにみつめたうえで、空想世界を構築しています。しかし次第に現実と空想の境目がなくなっていくのですが、現代都市の物質文明への風刺がうかがえました。

イタロ・カルヴィーノ(1923-1985,イタリア)は、執筆当時のイタリアの社会事情を色濃く反映させているようですが、批判だけをしているのではなく、また現実から逸脱した空想に浸るのでもなく、実際に都市生活者が感じるであろう生活上の不協和音や社会的矛盾、憧れを描いていると思います。それは現在においても、哀しいかな、変わっていないんですよねぇ。
児童書ですが、大人にとっても楽しめる内容です。というよりも、カルヴィーノを子どもだけに読ませるなんてもったいない。アスファルトとコンクリート・ジャングルで暮らす大人にとってこそ、特に共感する部分があるのではないでしょうか。(2001/8/10)

追記:2009年6月、同叢書から関口英子による新訳が刊行されました【Amazon

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