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ミサゴの森/ロバート・ホールドストック

ミサゴの森
ロバート・ホールドストック

My評価★★★☆

訳:小尾芙佐
解説:山岸真
角川書店(1992年3月)
ISBN4-04-791197-6 【Amazon
原題:Mythago Wood(1984)


1940年代、スティーブは兄クリスチャンの結婚を機に、戦場からイングランドの実家・樫ノ木山荘へ戻った。
山荘には父の亡くなった後、兄クリスが暮らしていた。兄嫁の少女はグゥイネスと言ったが、どこにも姿が見当たらない。
兄弟は考古学の研究のためにライホープの森へばかり行く。彼らは自分たちを省みない父親に、いい思い出がなかった。だがクリスは、いつの間にか父親の研究を受け継いでいた。
父親の日記から、父が森の不思議な力を研究していたことがわかった。森には神話時代の時間が流れ、太古の人々や生き物が闊歩しているというのだ。そして森は、人の想念を実体化して肉体を与える。そうして発生した人間を<ミサゴ>という。

クリスの結婚相手グゥイネスはミサゴだったが、彼女と敵対する何者かに殺されたのだった。クリスは力の源を得るため、森へと分け入り戻って来なくなった。
そして新たなグゥイネスがスティーブの前に現われた!?二人は恋に陥る。だがスティーブのグゥイネスは、突然現われた男たちに掠奪される。
スティーブはグゥイネスを取り戻すべく、知り合った飛行士ハリー・キートンと共に森へ踏み込む。森には現世とは違う時間が流れており、現実に見えるよりも果てしなく広大な異界へ繋がっていた。また、そこでは神話世界が息づいていた。
スティーブとクリスは、最初の外人<ウルスカマグ>に追われつつ、やがてグゥイネスを巡る神話に取り込まれてゆく。

********************

1984年、世界幻想文学賞を受賞。
文体と雰囲気をどこかで読んだことがあるなあと思ったら、作者はロバート・フォールコン名義でオカルト・アクション『ナイト・ハンター』を書いた人だった。どうりで。でもこの作品はオカルト・アクションではないです。オカルティックな雰囲気ではありますが。

見た目にはライホープの森は小1時間ほどで一周できるのだけれど、その実、内部は広大な異界へと繋がっているのです。そこには神話世界の住民がおり、神話が脈々と息づいている。
神話がどうして派生するのか、その根源は何なのか、ということがこの作品に深みを増していると思います。文明・文化、民族の対立、支配/被支配の関係・・・。そうしたところから様々な伝承が生まれてゆくのですが、それは人間の埋もれた歴史そのものといった感じがします。
森は幾度も神話を再生産する。だが全く同じ神話が繰り返されるのではなく、その都度様々なバリエーションが生じる。スティーブとクリスを取り込んだバリエーションも。
異界の森は更なる異界へと通じる。そこに働く意志は何なのかは、読む側に委ねられるんですよねぇ。

森という子宮的世界は地母神信仰ではないかと思うのですが、反して物語は父権社会そのもの。グゥイネス伝説の祖型の時代が、すでに父権社会のようにしか感じられなくて、母系型の地母神信仰とはほど遠いような気がしました。神話というよりも、男性中心社会となった中世の元始の物語と言った方がシックリするような。
また、アマゾネス的な性質を持つグゥイネスですが、結局は男たちの道具でしかないように思われます。

ところで、ミサゴが人の想念を実体化したものであるなら、再現なく実体化したミサゴが森にうじゃうじゃと溢れないのかな?(2003/1/11)

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