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ウィダの総督/ブルース・チャトウィン

ウィダの総督
ブルース・チャトウィン

My評価★★★★

訳:芹沢高志・芹沢真理子
めるくまーる(1989年6月)[絶版]
0097-77162-8326 【Amazon
原題:THE VICEROY OF OUIDAM(1980)


自らの罪業によってアフリカの国に閉じ込められた奴隷商人の物語。
19世紀初頭のアフリカ・ダオメー共和国(現ベナン人民共和国)の首都アボメーには、「ウィダ」と呼ばれる黒人奴隷の積み出し港があった。
かつてこの地には、ブラジル出身の白人の奴隷商人フランシスコ・フェリックスという男がいた。作中では男の名前をフランシスコ・マヌエル・ダ・シルヴァと変え、彼の生涯を辿る。

フランシスコ・マヌエル・ダ・シルヴァ(ドン・フランシスコ)の歿後から117年後、一族は彼の鎮魂ミサのためにウィダに集まった。
そのときドン・フランシスコの最後の娘マドモアゼル・エウジェニーア(ママ・ウエウエ)は、瀕死の床に就いていた。
一族の者は彼女から、ドン・フランシスコのブラジルでの財産を著した書類の在り処を聞き出そうとする。だが彼女の口から洩れた言葉は、一族には理解できないポルトガル語だった。

貧しかったフランシスコ・マヌエル少年は、ブラジル各地を彷徨した後に、ジョキアン・コウティーニョと出会う。
フランシスコ・マヌエルはジョキアンのシンジゲートによる奴隷貿易のため、1812年に自ら志願してダオメーへと向かう。奴隷貿易は数年間順調にいったが、情勢が変化して後、彼は王に囚われてしまう。
王といえども白人を殺すことはタブーなので、皮膚の色を変えるためにフランシスコ・マヌエルは藍を満たした桶に漬けられる。
王子に救出された彼は「血の契り」によって、王子が政権を掌握するための支援を誓う。そして政権交代の後、新国王の庇護もとでウィダの総督に任命された彼は栄光栄華と贅を極める。
だが、イギリスの奴隷貿易廃止条約によって立場が一変。故国ブラジルでは奴隷売買は犯罪となり、犯罪者の彼は帰郷することができない。
新国王は彼の権力を疎んじてスパイに監視させる。また黒人たちからは、悪辣な奴隷商人として恨まれる。遂に地位も財産も剥奪され、愛人とともに刻々と身に危険が迫るはめに・・・。

********************

ブルース・チャトウィン(1940-1989)による奴隷貿易時代のアフリカを舞台にした小説。
イギリス人にしてはよく書けていると思うのですが、奴隷を搾取した側の国民のためか、被搾取者の立場で書かれているとは思えない(そう私には感じられます)のが残念。

ドン・フランシスコはダメオーと西欧諸国の間で翻弄された一人、と思わせる節がなきにしもあらず。彼は残虐だが、ときには子ども死を悼むという気持ちを持ち、罪状に関わらず悲劇的に書かれている。
確かに裏切られた上に、行き場をなくしてダオメーに閉じ込められた彼は可哀想です。自分の居場所を求めた彼だが、道を誤ったために破滅しダメオーという牢獄に囚われてしまう。しかし、そもそも自業自得なのでは。

作者は巧妙にもドン・フランシスコの生涯は、死の床でのママ・ウエウエによる夢語り、もしくは回想なのかと匂わせています。ママ・ウエウエの生涯もまた、語るに足るだけの奇想に満ちているんですよね。
幾重にも錯綜する裏切りと様々に変転する時代のなかで、唯一無私の愛だけ清らかなのが印象的でした。それは、喩えれば泥沼に咲く一輪の白蓮、夢のなかで香るジャスミンの記憶。(2001/11/25)

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