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ショコラ/ジョアン・ハリス

ショコラ
ジョアン・ハリス

My評価★★★★

訳:那波かおり
角川書店BOOKS PLUS(2001年3月)
ISBN4-04-897013-5 【Amazon
原題:CHOCOLAT(1999)


フランスのはずれの小さな村ランスクネ・スー・タンヌに、ヴィアンヌ・ロシュと6歳の娘アヌークがやってきた。ヴィアンヌは四旬節を前にして、村に手作りチョコレートの店を開いた。
村には愛犬の老衰を心配するギヨーム。夫の暴力に耐えるジョセフィーヌ。孫と会うことができないアルマンドらがいた。
ヴィアンヌは客の好みのチョコレートを当て、さらには人々の望みや夢を知ることができた。やがて彼女の周囲で、人々の生活に変化が訪れる。そして村にジプシーの船団がやってきたリ、ヴィアンヌの良き理解者であるアルマンドの誕生パーティーを迎える。
しかしヴィアンヌは、かつては母と、いまはアヌークとともに各地を転々としているが、それは「黒い男」の影に脅えているからだった。

若くて厳格なレノー神父は、四旬節の信仰の邪魔をするヴィアンヌが気に入らない。そしてチョコレートを食べることは罪悪で神への冒とくであり、彼女を「魔女」だと非難。
だがヴィアンヌは子どもたちとともに、復活祭(イースター)に『チョコレート・フェスティバル』を企画。レノー神父はジプシーを追い払って、チョコレート・フェスティバルを阻止しようとするが!?

********************

上質のチョコレートの香り漂う魅惑的な作品。特にアルマンドの81歳の誕生パーティのメニューは涎もの。お腹が空いているときには読まないほうがいいよ。

ヴィアンヌの作ったチョコレートは、食べた人の望みを叶える不思議なチョコレート。それを「魔法」と言い、ヴィアンヌ母娘を「魔女」と言うのは簡単でしょう。でも、望みを叶えるためには、危険を乗り越える本人の意思と行動力が必要とされるのです。
ヴィアンヌのチョコレートは、心に秘めた「望みを引き出す」ものではないでしょうか。この場合の望みとは、「人から押し付けられたものではない生き方」ということでは。
ヴィアンヌによって個人の意思が、コミュニティや因習に束縛されている様が浮き彫りにされます。ヴィアンヌがもたらした変化はチョコレートによってではなく、コミュニティや因習に縛られない彼女自身の生き方によってでしょう。この物語は、彼女に触発された村人自身による「意識改革」でもあります。

「因習を打破する」という点において、特にチョコレート・フェスティバルが復活祭に合わせて行われるのが象徴的。本来、復活祭前の四旬節の40日間は、肉や卵、バターなどの動物性タンパク質を絶って粗食に甘んじなければならず、この由来は宗教上と健康上など諸説あります。
ところがヴィアンヌは、本人にそのつもりがないとしても真っ向から反抗したことになる。だから厳格なレノー神父が彼女を敵視するのは当然。こう書くと作者が四旬節の食生活に意義を唱えているように感じるでしょうが、実は反対はしていないんですよね。

謎めいた母娘の経歴はすべて明かされていないし、レノー神父の過去もほのめかされているだけ。黒い男の正体もハッキリとせず、読む側の想像に委ねられています。だからこそ一層ファンタスティックな魅力に溢れているように思います。何もかも明かされたのでは興醒めだからね。
驚くべきはレノー神父の嗅覚と味覚の鋭さ!断食しているけど、本当はかなりの美食家とみた。ともあれ、ほんわか気分に浸れることうけあいです。(2001/8/12)

追記:2002年6月、角川文庫化【Amazon】。

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