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食べるアメリカ人/加藤裕子

食べるアメリカ人
加藤裕子

My評価★★★★

大修館書店(2003年1月)
ISBN4-469-24479-1 【Amazon


アメリカで暮らしたことのあるジャーナリストの著者による、アメリカ人の味覚や食の嗜好に関するエッセイ。食生活から、アメリカとアメリカ人をジャーナリスティックに考察した本。
冒頭、アメリカ人は食べ物をまずくする「天才」ではないだろうか。(p4)で始まるのには笑っちゃいました。
要するにこの本は、アメリカの食べ物はなぜ不味いのかという本。ただし、ここでいうアメリカ人とは主にニューヨークで暮らす人々であり、それ以外の地域ではないので注意。私もそのつもりで読み、こうして書いています。

結論から言えば、アメリカ人の味覚と食生活及び食物に対する考え方は、日本人とは異なるということ。
この違いを理解しなければ、BSE問題における日本とアメリカの温度差を理解するのは難しいのではないでしょうか。また、某大手グルーブのチェーン・スーパーがアメリカ資本の傘下になってから、品揃えと品質がガクンと落ちたことも、食品または食べるということに関する意識の違いからくるんじゃないかと睨んでます。

おしゃれなインテリア、てきぱきとした店員のいるホテルのレストランで、「ああ、アメリカでパスタを頼んではいけなかった!」(p5)にも激しく同意。ニューヨークへ行ったとき、ほとんどの食べ物が、あまりのまずさにゲンナリしたから激しく納得。有名といわれるレスランでも(ハイクラスのレストランは知りません)、味はまあまあという感じで、値段はしっかり。
著者は、内装やサービスが良くても、味まで良いとは限らない。レストラン批評家といえども、内装やサービスに気をとられるため信用できないと言う。そうなんだよねえ。また著者同様に、私もザガットは信用していません。

この本読んでタメになったのは、メニュー付きのレスラン広告が電話帳に載っているので、一人前からデリバリーを頼むことができるということ。店によってはデリバー・メニューを置いているところがあるので、貰って帰ってから頼むといいのだそうです。ルーム・サービスよりずっと安いんだって。

旅行先でアメリカ人が食事している姿を見て、彼らには「味わう」という観点がまったく欠けているんじゃないかと思うことがあります。その点、西洋人は違うなぁと思うんです。
国際都市ニューヨークは、アメリカ各地や各国から様々な食材が入るだろうし、様々な料理人がいて様々な消費者がいる。だから料理が洗練されていき、まずい食べ物・まずい店は淘汰されていくだろうと思うのだけれど、そうはならないから不思議。多様なライフスタイル、多様な所得層のいる都市部だからこそ、まずくても合理的であれば許されるのかな。

著者は、作り手が効率を優先しているとしても、それで良しとしている客の方が解せないと言う。
その原因として、アメリカ人は生まれたときから出来あい(加工食品・冷凍食品・缶詰など)の味に慣れてしまっていること。手間をかけて作るは非合理的という考え方があるらしいことを挙げています。夕食がシリアルだったり、サプリメントだけで過ごす人もいるという。栄養が摂れれば、味は二の次というわけですね。
そうした一方、アメリカ人の間に新鮮な食材を求める動きや、簡便性や安さ以外のものを求める動きがあり、ニューヨークで新鮮な食材を売るファーマーズ・マーケット(農家による直売所)またはグリーンマーケットが増えているのだそうです。

食事(作ったり味わったり)にエネルギーを使わず、仕事に投入する。確かにそれは合理的かもしれません。私も忙しくて時間のないときは、味は二の次で、待たされずに速く食べられる店を選ぶもの。ちなみに日本で冷凍食品が普及したのは高度経済成長時代だから、やっぱり合理性を求めてのことなのでしょう。
しかし食事というものは栄養が摂ればいい、というのではないと思うんです。人は一生の間、どれほどの食事数と量を食べるのか。一回きりの人生、どうせ食べるならおいしい物をおいしく食べたいと思うか、それを時間のムダと見なすか。

砂糖の問題もあります。アメリカのデザートやアイスクリーム、ソフトドリンク、ケーキ、ベーカリーなどはものすごく甘い。気持ち悪くなるほど甘い。しかも量が多いのでウンザリ。
アメリカ農務省が調査したところでは、1999年のアメリカ人一人あたり糖分の平均消費量は158ポンド(約71キログラム)。一日あたりなんとティースプーン約50杯の糖分を摂取している計算になる。(p25) のだそうです。
アメリカ人はデザート類だけではなく、糖分が添加された食品に慣れ親しんでいるという。それほどの砂糖の国内需要を賄うためには、輸入に頼らざるを得ないのが実情です。
ちなみに国際砂糖機関(ISO)調査によると、日本人の砂糖の年間消費量は一人あたり平均20キログラム前後で、世界でも少ない方らしい。

もう一つ興味深かったのは、アメリカのベジタリアンは自炊せずにテイクアウトや外食、インスタントや冷凍食品に頼っているということ。それは別にいいのですが、ベジタリアンが食品ラベルをチェックする際には、「動物性のものが入っていないか」ということばかり見て、添加物や人工甘味料、大量の脂肪や糖分など、どう考えても体に良いと思えないものはノーチェックなのだから面白い。(P98)
うーん、アメリカ人は健康志向が高いといわれますが、私には彼らの健康に関する考え方が理解できません・・・。

最も意外だったのは、アメリカに飢えている人がいるということ。
飢餓救済団体『アメリカズ・セカンド・バーベスト』の調査によると、飢えは貧困層に留まらず拡大しており、2001年に同団体から援助を受けた内の40パーセント近くがワーキング・プアー、職には就いているものの低賃金に甘んじている層。年収にして約100万円という彼らの乏しい稼ぎは、食費ではなく、家賃に回されがち。そうしなければ住む家を失い、ホームレスになってしまうからだ。人種別では、およそ45パーセントが白人、35パーセントがアフリカ系、16パーセントがヒスパニックとなる。(p78)
世間にはモノが溢れているのに、購入できない状態なのだとか。

株で巨額の富を得る者がいるかと思えば、飢えている者もいるという事実。要するに所得格差が問題なのですが、これが今後縮まるとは私には思えないんですよねえ。
アメリカが未曾有の好景気に沸いていた1995年でさえ、アメリカ全世帯の4.1パーセントが食料配給に頼らざるを得ない生活をしていたという(アメリカ農務省による)。(P80)
この理由として、まず不十分な福祉政策が挙げられています。福祉は慈善団体やボランティアによって支えられているのですが、それとても限界はあります。日本では福祉予算が削られて、何割かの個人負担金が増えているが、福祉利用者が所得を維持できなくなれば、飢えてしまう危険性があるわけです。

アメリカ人は広大なので、北部と西部、東部、南部とでは食生活がとても異なるという。アメリカの食事をけなす人でも、ニューオーリンズだけは例外とせざるを得ないだろう。(p200)
そうそう、そうなんですよ!私もニューヨークではほとんどがまずかったれど、直後に行った南部ニューオリンズの食べ物はとてもおいしかった。
ニューオリンズ料理を、そのままニューヨークなどの都市部で提供するには、コスト面で無理があると思います。料金設定を高くしないとやっていけないだろうな。(2005/7/17)

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