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活きる/余華

活きる
余華(Yu Hua)

My評価★★★☆

訳・解説:飯塚容
角川書店(2002年3月)
ISBN4-04-791411-8 【Amazon
原題:活着(1993)


10年前、農村で民間歌謡を採集していたぼくは、畑で牛に鋤を引かせながら謡っている老人の唄に惹かれた。牛は一頭なのに、五つの名前を挙げて謡っていたからだ。そのことを訊ねると、老人は答えてくれた。

老人は40数年前の過ぎし日の出来事を淡々と語る。
老人は福貴(フークイ)といい、土地持ちの裕福な家に生まれ育ったという。青年時の福貴は道楽息子で、先祖伝来の土地と財産を全てバクチですってしまった。そのショックで父親は死んだ。母親が倒れたとき、福貴は町へ行き医者を連れて来ようとするが、国民党の兵隊狩りに捕まってしまう。

やっと家に戻った福貴は、妻子たちと再会する。だが、幾度も変転する政策と貧しさによる過酷な生活が待っていた。
時は抗日戦争時における国民党軍と解放軍との内戦、土地改革開放、人民公社化、大躍進、文革などの激動の時代。家族はときに哀しみに打ちひしがれ、ときに歓びを噛みしめ合いながら生きてゆく・・・。

********************

余華(Yu Hua=ユイ・ホア)は、1960年中国・杭州生まれ。本作は1998年にイタリアのグランザネ・カブール文学賞を受賞。グランザネ・カブール文学賞というのがどういう賞なのかわからないのですが、1996年には大江健三郎が受賞しています。
1994年に張藝謀(チャン・イーモウ)監督によって映画化。映画タイトルは『活(い)きる』 。原題の『活着』は「生きている」という意味なのだそうで、これは主人公の福貴のことを指しています。同年カンヌ映画祭で審査員特別賞と主演男優賞を受賞。映画での福貴(フークイ)の役柄は、影絵芝居の芸人に変更されているそうです。

激動の時代をひたすら活きぬいた男の物語。「中国の小説を読んでみたいけど難しそう」と思っている人におすすめ。時代背景についての予備知識がなくても大丈夫。小説を最後まで読み通せる人なら、誰にでも理解できる。悲劇的な事件が次々と起こるので、涙腺の弱い人はハンカチが必要かと。
でもただ悲しいだけの話ではなく、ラストにはホッとする部分があり、とても巧く書けている作品だと思います。
作者は完全にツボの抑えどころを知っており、むごくて読むのが辛くなりそうになると、次にはそんな気持ちを逸らしてくれるのです。

確かに巧いし、作者の書きたかったこともわかります。でも読者が何にどんな感情を抱き、どこまで耐えられるか、そこまで作者にコントロールされたくはないですね。このような作者にとっては、極端に深刻にならず且つ余韻を残すこのラストは、計算の上での当然の結果でしょう。
このラストでもいいと思うのですが、作りすぎという感は否めません。読んでいると、ラストの雰囲気が想像できてしまう。頭のよい作家で巧いのですが、読者の反応を計算しているのが透けて見え、あざとく感じられました。(2004/3/27)

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