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異次元を覗く家/ウィリアム・ホープ・ホジスン

異次元を覗く家
ウィリアム・ホープ・ホジスン

My評価★★★

訳・解説:団精二
ハヤカワ文庫SF(1972年5月)
ISBN4-15-010058-6 【Amazon
原題:The House on the Borderland(1908)


アイルランドの小さなクライテン村へ釣りに出かけた私とトニスン。二人は、森の奥の廃墟で手記を発見した。手記は老人(現代では壮年というべき年齢)の体験記だった。

老人は、村人たちから悪魔が建てたといわれる奇怪な建築様式で、不吉なウワサが囁かれる館に住んでいた。
その館を、この世のものとは思えない獣人が、夜な夜な深い谷底の裂け目から現れて襲う。老人は老犬ペッパーと応戦。
獣人たちはどこから来たのか?調べていくと谷底の裂け目は、家の地下に封印されている深淵に繋がっていた。
静寂の大海「眠りの海」で逢瀬した女性とのロマンスもあったが、そのことに関する手記はところどころ失われている。

ある夜、老人に異変が起こり、彼だけが加速度的に時間を越える。時に浸蝕された愛犬ペッパーは砂塵と化して崩れ去る。遂に老人は肉体を離れ、精身体となって那由他の時を越え、外宇宙を旅し宇宙の脈動を見た。太陽系の終末、ビックバン、そして星雲の出現、太陽の誕生から消滅期まで。
やがて肉体に戻った老人は再び獣人たちと対峙するが、新たに飼った犬は、獣人たちによって緑色の蛍光に光るシミに侵され腐敗してゆく。老人もまた・・・。

********************

第一次大戦に将校として従軍して後に戦死した、イギリスの作家ウィリアム・ホープ・ホジスン(1877-1918)による宇宙的牙規模の怪奇幻想SF。訳者は荒俣宏。
この作品はホジスンとほぼ同時代のアメリカの怪奇幻想小説家ラヴクラフト(1890-1937)の作品共々、怪奇幻想小説の古典と言われるそうです。人智の及ばない宇宙的規模の怪奇現象及び獣人に襲われるという点で、ラヴクラフトの影響が濃厚そう。

現代科学で考えると辻褄が合わないのですが、この作品で科学を論じるのは無意味でしょう。
私がもっとも興味を惹かれるのは、人間の果てしない想像力です。そして、その宇宙は人間の理性の及ばないところだということ。科学にとらわれず想像力をフルに発揮し、理性の及ばない宇宙を創り出すことは、科学に慢心した現代人及び現代の作家にはないことだと思うのです。そうした点がこの作品の凄さではないでしょうか。
ただ、宇宙の描写を面白いと思うかどうかは意見が分かれるかもしれません。ですが、宇宙の誕生と消滅を創造したことで、単なる幻想小説を越えているような気がします。

「眠りの海」の女性や小球の中の顔とは何か?太古から存在するような奇怪な館は誰が何のために建てたのか?獣人とは何なのか、ということも説明されていません。かなり説明不足な箇所が多いので、そこは想像力で補わなければならない。
しかし人間の肢体を持ち、闇に爛々と輝く緑の眼の凶暴な獣人の顔とは!おかしいけれど、あまりにも容易に想像しやすいから恐ろしいのかもね。(2002/6/16)

追記:長らく絶版状態でしたが、2004年3月に同文庫から復刊しました。

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