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海の上のピアニスト/アレッサンドロ・バリッコ

海の上のピアニスト
アレッサンドロ・バリッコ

My評価★★★★

訳:草皆伸子
白水社(1999年11月)
ISBN4-560-04670-0 【Amazon
原題:NOVECENTO Un monologo(1994)


1927年、豪華客船ヴァージニアン号付き楽隊のトランペッターとなった私は、史上最高のピアニスト「ダニー・ブードマン・T・D・レモン・ノヴェチェント」と出会う。
彼は赤ん坊のときにヴァージニアン号で拾われた。新世紀の最初の年に見つけられた彼は、1900年の900(ノヴェチェント)と名付けられた。以来、一度も船を降りたことはなかった。
1931年、ノヴェチェントと、全米一のジャズピアニストのジェリー・ロール・モートンとのピアノによる決闘が行われる。

時が経ち、32年間も船にいたノヴェチェントが、ある日突然陸地に降りようとする・・・。
1933年、私は船から降りた。その後戦争が勃発し、ヴァージニアン号は病院船として酷使されたと聞く。ある日、私の元にかつての船員仲間から手紙が届いた。

********************

アレッサンドロ・バリッコ(1958年、イタリア・トリノ生れ)による、軽妙でファンタスティックな小説。全編に音楽が漂うかのような美しい物語でした。
一人芝居の戯曲として書かれた作品だそうです。船の上を舞台に見立ており、軽妙洒脱でときにはユーモアたっぷりのセリフが飛び交う。

ヴァージニアン号はアメリカを往復する豪華客船で、同時の客船は移民船も兼ねていたようです。
船で育ち、一度も陸に降りたことのないノヴェチェント。船から降りたことはないのに、あらゆる土地を知っている男。名前も国籍もない男。宙から音楽を掴むようにピアノを弾く天才ピアニスト・・・。こう書くと、彼はあらゆる束縛から自由な男のように思うかもしれません。
激動の時代に生きたノヴェチェント。誰もが自分の生きる道を見つけるのが困難な時代、世間の広さと複雑さに当惑・混迷しているような時代。そんな中、船上で生きるノヴェチェントだけが世界の大きさと複雑さを、超然とした態度で俯瞰しているような気がしなくもないです。
そんな彼が船を降りようとする。なぜ?

この作品では、作者は答えを提示しておらず、各人各様による解釈の余地を残していように思います。ノヴェチェントの生き方に対して共感できない人がいるかもしれません。でも、それはそれでいいと思うんです。
ただ、どんな結果であれ彼は自分で自分の人生を選択した。誰のためでもない、自分にとって正しいと思う道を自ら択び進んだのです。それは、どのような生き方であれ、彼は自身で選択するだけの強さをもっているということだと思うのです。
与えられた人生ではなく、自ら人生を選ぶ。船を降りた後、彼にとっての本当の人生が始まったのだと思う。(2002/2/19)

備考:『ニュー・シネマ・パラダイス』で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督が1999年に映画化(イタリア,アメリカ)。映画はほぼ原作に忠実なストーリーと雰囲気。さすがトルナトーレ監督だけあって、いい映画でした。
あえて言えば、映画ではどうしても種々の細かいエピソードが省かれてドラマラスな方向性に絞られてしまうため、原作の物語としての奥行きが若干失われてしまったような。また、軽妙さやファタンステックさがやや薄れてしまったかなあ、という気がしなくもありません。

追記:2007年12月、白水uブックス化【Amazon】。

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