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絹/アレッサンドロ・バリッコ


アレッサンドロ・バリッコ

My評価★★★☆

訳:鈴木昭裕
白水社(1997年5月)
ISBN4-560-04625-5 【Amazon
原題:SETA(1996)


南フランスのラヴィルデューという町に、ふらりと現れたバルダビューという男。この男が養蚕と絹紡績の工場を建てたことから、以来、町は養蚕業と絹紡績で南フランス一となった。
エルヴェ・ジョンクールは絹業者たちから蚕の買い付けを任された。しかしヨーロッパの蚕が疫病に冒され、疫病はアフリカにまで達した。 1861年、エルヴェ・ジョンクールは蚕を買い付けに、世界の果て日本へと派遣される。鎖国政策下での日本への買い付けは、密入国であり密貿易となる。
エルヴェ・ジョンクールはとある山村へ案内され、ハラ・ケイという男と商談する。そのとき、少女のような顔立ちの女性と出会う。

1864年、エルヴェ・ジョンクールは自らの意思で、4度目となる日本を訪れようとする。妻エレーヌには引き止める術はなかった。
日本は開国間際で混乱し、戦争の最中。村は破壊されて何も残っておらず、人々はどこかへ行ったようだ。彼はハラ・ケイと女性の跡を追うが・・・。
帰国した彼は、人が変わったように寡黙になり、黙々と庭園造りに打ち込む。半年後、エルヴェ・ジョンクールに一通の手紙が届いた。手紙は日本語で書かれていた。彼は手紙をニームに住む日本人のマダム・ブランシュに読んでもらう。

********************

19世紀中頃の南フランスと日本を舞台にした物語。作者が日本語版の前書きで断っているように、作中に描かれる日本は現実の日本そのものではなく、当時の西洋人はこう思っていただろうという東洋観の表れでしょう。
幻想の東洋であろうと、正しい歴史考証による日本だろうと、作品全体をトータルでみた場合に影響はないと思います。なので設定に無理があろうと目くじら立てる必要はないでしょう。

純愛物語と言っていいでしょうか。正直に言って私は純愛ものは苦手なのですが、ストレートなプロットなので読みやすかった。ただし、読者が予想するであろう展開を、心地良く裏切ってくれました。深読みしようとせずに、読んだままに感じればいいのだろうと思われる。

「絹」という布には艶かしさがありますね。この作品も艶かしくはあるけれど、それは一部であって読後感は違いました。「美しい」と形容できるかもしれませんが、独特な読後感でした。
なんと言えばいいのかな、読後の余韻は音楽的のように感じたんですよね。読後に残るものは特定の場面や登場人物ではなく、すべてが渾然一体と融け合って、ある一点へと収斂してゆくシンフォニックな感じ・・・。意味不明ですねぇ。巧く表現できないです。
訳者はあとがきで「白い音楽」と表現しています。私には白いのかどうかわからないけれど、少なくとも音楽と感じたのは自分だけじゃないということですね。
この読後感は、作家であり音楽学者でもあるというバリッコならではのように思います。(2002/2/28)

追記:2007年12月、白水uブックス化 【Amazon】。

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