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蜜蜂職人/マクサンス・フェルミーヌ

蜜蜂職人
マクサンス・フェルミーヌ

My評価★★★☆

訳:田中倫郎
角川書店(2002年11月)
ISBN4-04-897204-9 【Amazon
原題:L'apiculteur(2000)


1885年、南仏プロヴァンス地方ラングラードに暮らす20歳のオーレリアンは、黄金に魅せられて養蜂家となった。養蜂は軌道に乗るが、三年目の秋、フェーン現象によって巣箱が壊滅してしまう。

ある日、彼は黄金の化身のような、金色に近い黄色い肌をしたアフリカ女性の夢をみた。そして恋人のポーリーヌを残したまま、黄金を求めてアフリカへと旅立つ。
スエズ運河を渡り、キャラバンと共にソマリア砂漠を旅して、一路、アビシニアの町ハラールへ。
彼はマコンネン王の王宮で、ガラ族の一女性を見る。その女性こそ、オーレリアンの夢に現れた女性だった。
彼は女性の後を追って、ガラ族の住む蜜蜂の国を探そうと決意。その国には蜜蜂断崖があるという。道中、フランス人のル・ファランジ率いるキャラバンに同道する。オーレリアンは蜜蜂断崖へ辿り着くが・・・。

マルセイユへの帰途の船上で、オーレリアンは技師イポリット・ロワズールと親しくなる。オーレリアンのアフリカでの体験に感動したイポリットは、二人で夢を実現すべく再会を約束する。
1893年、イポリットはラングードに、計画書と資金を持参してやって来た。オーレリアンとイポリットは「アビポリス(蜂の都市)」造成に着手する。

********************

フランスの男性作家マクサンス・フェルミーヌ(1968年生まれ)による、現実と幻想の狭間を漂うかのような小説。
夢みる人間たち。蜜蜂、ラヴェンダーなどの色彩と匂いと音に充ち、全体的に淡い黄色の光に包まれているかのよう。読後にはふうわりとした浮揚感と、淡い光に満ちた至福に満たされました。その光は、見たことはないけれど、陽光溢れる南仏の光を思わせます。

オーレリアンにとっての黄金は、金ではなく蜂蜜。彼は蜂蜜の黄金とアフリカ女性の夢に導かれて、アフリカを放浪するのです。彼はいつのときも夢を忘れず見失わない。しかし、いつしか彼自身が解く鍵を求める夢と化す。
夢は幾度も破れるのですが、、彼にとっては夢を見続けることが大切なのであって、現実に達成したものを維持することではないのでしょう。そうして、自分の人生にとっての黄金に辿り着くのです。

作中では名前が伏せられていますが、有名な画家と詩人をモデルにした人物が登場します。この画家については訳者あとがきで触れているため、あとがきは最後に読んだほうが楽しめる。
作者はオーレリアンを通じて、画家と詩人の人生を問う、「彼は幸せだったのだろうか」と。それはオーレリアンが自分に向けた問いのようにも思われる。
人生の黄金を追い続け、それをみつけた彼は幸せだと思うのです。夢みつづけて追い求めることは大切かもしれません、でも、人は夢だけでは幸せになれないと言っているかのようにも思われるのです。
幸せは遠い国や夢にあるのではなく、気づきさえすればもっと身近にある、ということだと思うのです。身近にある幸せに気づくことが出来るか、それが一番大切なのだ、という印象を受けました。(2003/2/19)

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