スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

絵で見る十字軍物語/塩野七生

絵で見る十字軍物語
塩野七生

My評価★★★★

絵:ギュスターヴ・ドレ
新潮社(2010年7月)
ISBN978-4-10-309632-0 【Amazon


絵で見る十字軍物語19世紀フランスの画家ギュスターヴ・ドレ(1832-1888)に、塩野七生のキャプションによる十字軍の概説。
イタリア・オペラに喩えて序曲となる巻だそうで、この後に本篇『十字軍物語(全3巻)』が続き、合わせて総4巻という構成。

内容は第一次十字軍から第八次十字軍、そして「コンスタンティノープルの陥落」、グラナダのアルハンブラ開城によるレコンキスタの完了、最終ページは「レパントの海戦」で幕を閉じる。
塩野さんの著作を読んでいれば、あのエピソードやこのエピソードなどいくつか出てきますよ。
主役はドレの挿絵。見開きにして左側に挿絵、右側に地図と文章というレイアウト。地図があるから、地理的な場所をイメージしやすいです。
文章量が少ないのでアッという間に読了したのですが、そのぶん絵に集中してドレの挿絵を堪能できました。

文章は数行しかなく、キャプション程度。とはいうものの、五百年近くにも亘る出来事をよくまとめたなあ、ということをまず一番に思いました。
私としては格別目新しい内容ではなかったのですが、日本人にはわかりにくいであろう十字軍について、ポイントとなるエピソードが端的に示されています。内容的には物足りなかったのですが、タイトルを考えれば妥当かと。
ただ著者が断っているように、この本で十字軍の全てがわかるわけではありません。この後に続く『十字軍物語』を読むことが前提になっています。

使用している挿絵は、元々は19世紀前半の作家フランソワ・ミショーの文に、同世紀後半の1880年にドレが描いたもの。挿絵は合計100枚にもなるそうです。
この挿絵は、日本では木口(こぐち)木版と呼ばれる技法なのだそうで、ペンで描き薄いインクで濃淡をつけた原画を、彫刻師がハッチングによって陰影などを精巧に再現し、それを印刷したものだそうです。ハッチングだけでこれほど濃淡を表現できるとは。
どうしてドレが膨大な数の挿絵を制作することができたのか、これで謎が解けました。優秀な彫刻師を幾人も抱えていたのでしょうね。

ドレの挿絵は優美。なかでもサラディン!光り輝くような素晴らしい雄姿。この挿絵を見ると、ドレはサラディンに好意的ですね。他の本で読んだのですが、サラディンが存命していた当時、西欧人にも人気があったらしい。
逆に第六次十字軍を率いたフリードリッヒは西欧人には不人気だそうで、ドレは一枚も描いていない。
ミショーはフリードリッヒに好意的な評価を与えているそうですが、19世紀後半のドレは評価していないんです。フリードリッヒの時代から六百年経っても、まだそんな感情をもっている人がいるんですねえ。フリードリッヒを評価している塩野さんは憮然としたんじゃないのかなあ、と想像。
19世紀後半のドレの挿絵が、数百年もの昔の十字軍をどういうで目で捉えているのか。19世紀後半の人が十字軍をどうイメージしていたのか、と推量してみるのも一つの読み方ではないでしょうか。(2012/8/20)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。