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砂糖園の子/ジョゼー・リンス・ド・レーゴ

砂糖園の子
ジョゼー・リンス・ド・レーゴ

My評価★★☆

訳・解説:田所清克
彩流社(2000年9月)
ISBN4-88202-679-1 【Amazon
原題:Menino de Engenho(1932)


私が4歳のとき、父に拳銃で撃たれて母が死んだ。父は兵士たちに連行されていったが、行き先は牢獄ではなかった。父は母を愛していたが、父の精神は病んでいて、その愛し方は狂人のようだった。私はジュカ叔父に連れられて、北東部で暮らす母方の祖父に引き取られた。
祖父は砂糖園(エンジェーニョといって、製糖工場・砂糖園のこと)を営む大農園主で、この地方の長老だった。邸宅にはいとこたちなど大勢の人が暮らしていた。マリア叔母さんは私を慈しんで面倒を看てくれるが、祖母の姉妹のシニャジーニャおばさんは、横暴で意地が悪かった。
黒人たちはとうに奴隷制が廃止されていたので解放されていたが、依然として砂糖園に留まってセンザーラ(農園主によって奴隷に与えられた家屋・宿泊所)に住んでいた。

大洪水や砂糖園の大火事という災害に、力を合わせて立ち向かい、私財をなげうって助け合う人々。従兄たちのイタズラ、他の農園への訪問、叔母マリアの結婚など、砂糖園での日々。
それらの日々、少年の私は心中で、自分が父のように狂ってしまうのではないかという恐れを抱いていた。やがて少年は遠くの中学校へ上がるため、砂糖園を離れることに。それは性に目覚めた少年が、青年へと移行してゆくときでもあった。

********************

ブラジルの作家ジョゼー・リンス・ド・レーゴ・カヴァルカンティ(1901-1957)の自伝的小説だそうです。
作者の母親は出産時に亡くなり(この点作中と異なる)、彼は砂糖園を営む母方の祖父に引き取られ、叔母のマリアによって育てられたのだとか。
作者の自伝というよりも、ブラジル北東部における砂糖園(エンジェーニョ)や農村の生活を描いた小説という印象。小説によって当時を再現するというよりも、当時の出来事を記録するという意味合いが強いように思われます。
町から農村へやって来た少年によって、砂糖園を取り巻く人々が語られる。牧歌的なムードのなかにもシリアスな現状が描かれています。
1900年代初頭において砂糖園はすでに斜陽の時代を迎えていたそうですが、当時の砂糖園がどのように運営されていたのかを知ることができました。また、当時の人々の旧弊的ではあるが強い絆を持った人間関係も。
少年の目に映る自然の美しさと厳しさ、そこで暮らす人々の交歓や感情、不条理、貧富が素直に書かれていると思われます。

なぜ「思われる」という曖昧な表現をするかと言うと、翻訳が・・・。日本語が奇奇怪怪。奇怪としか言いようがありません。翻訳以前、国語の問題なのです。
これまでも翻訳に難があると思った本は多々あったけれど、ここまでなのは初めて。怒るのを通り越して唖然・呆然としてしいました。でも長い物語ではないし、原文はもっといいのだろうと思われるので、最後まで読みましたよっ。
解説によると、海外(主に西欧圏)での評価はかなり高いそうです。それはなんとなくわかります。傑作と言うほどではなかったとしても、本来は良書なのだろうなと思わせるものがあるのです。
しかし、この訳では誰にも薦めることができません。これは訳者というよりも、出版社の姿勢を問いたい。訳語に関しては訳者に任せるとして、せめて唖然とされない程度の日本語に校正することはできたはず。(2005/6/5)

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