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8(エイト)/キャサリン・ネヴィル

8(エイト)
キャサリン・ネヴィル

My評価★★★★

訳:村松基樹,解説(下巻):若竹七海
文春文庫(1998年9月,上下巻)[絶版]
上巻:ISBN4-16-752753-7 【Amazon
下巻:ISBN4-16-752754-5 【Amazon
原題:THE EIGHT(1988)


革命の嵐が吹き荒れる18世紀末フランス。謎の力を秘めた伝説のチェス・セット「モングラン・サーヴィス」を奪わんとする敵の手から守るため、修道女たちはそれぞれ駒を持って各地に散開した。
修道女ミレーヌとヴァランティーヌも駒を持ち、革命で騒然とするパリへ向かう。やがてパリ・タッシリ・ロンドンとロシアなどの各地で、死を賭した争奪戦が繰り広げられる。

二世紀後の1972年。ニューヨークでコンピューター専門家のキャサリンが、モングラン・サーヴィスを巡る陰謀に巻き込まれた。永劫に続くモングラン・サーヴィスの争奪戦がまたも始まったのだ。
キャサリンは宇宙の神秘と力を秘めるモングラン・サーヴィスの謎を解明して公開すれば、果てしなき争奪戦にピリオドを打つことができると考える。
そして各地に散逸したモングラン・サーヴィスを集めて謎を解明するうちに、時を越えてキャサリンとミレーヌの運命が絡み合う。

********************

聖杯探求のチェス・バージョンによる伝奇・冒険小説といったところでしょうか。もちろんチェスを知らなくても大丈夫。
18世紀と現代の二つの物語が交互に語られ、モングラン・サーヴィスの謎と二人の女性の運命が収束までを、歴史と多彩な人物を織り交ぜながら展開。最後まで読ませる作者の力量はなかなかです。

18世紀のパートでは、ロシア女帝のエカチェリーナ、ナポレオン、バッハ、ルソーなど多彩な歴史上の著名人が登場。あまりにも多くの著名人が登場するので、やりすぎの感が否めませんでした。
モングラン・サーヴィスの謎は、ピタゴラスやニュートンらの学説をもって数学的な複雑さで語られます。でも、ある人物の名前が出た時点でわかる人にはわかってしまうのが残念。しかし、謎がわかったとしても、それがどう収束するのか興味をもって読ませてくれるんですよ。
後半になってキャサリンが自発的にモングラン・サーヴィスの探求に乗り出すあたりから、俄然物語のテンポが上がるのですが、ラストは急ぎ過ぎたのではと感じました。

18世紀の時代の人々が現代人と同じ歴史・宗教・論理観で言動するのには、正直ちょっとゲンナリ。
この時代のキリスト教国では宗教戒律が人々の生活や思考を律しており、特に修道女であるミレーヌとヴァランティーヌにはその影響が顕著だと思うんですよね。でも、チラリとも伺えない。それゆえ読みやすいのではあるけれど。エンターテインメントと割り切れば気にはならないのだけれど。
好意的に解釈すれば、むしろ作者は意図して男性原理である宗教観を排しているのかも。なぜならこの作品はフェミニズムの産物だから。フェミニズムとして女性読者を考慮しているので、男性陣が脇役でしかなく映画やドラマに登場するようなステレオタイプであっても、女性がロマンスの相手として理想とする男性像でしかなくても、仕方ないのかもしれません。

フェミニズムが悪いというわけではなく、パワー・バランスでしか捉えていないところが問題だと思うのです。この作品での作者のフェミニズム観は、女性が男性の「優位に立つ」というもので、「対等」になることではないのです。
どちらかが優位に立つということは、その時点で性差が発生すると思われます。とすると、女性読者と男性読者では登場人物の受け止め方が異なるではないでしょうか。
エンターテインメントだからそこまで追求しなくてもいいのでしょうが、男性読者としてはちょっと引っ掛かりを覚えました。(2001/4/5)

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