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王への手紙/トンケ・ドラフト

王への手紙
トンケ・ドラフト

My評価★★★★

訳:西村由美,挿画:トンケ・ドラフト
岩波少年文庫,上下巻(2005年11月)
上巻:ISBN4-00-114574-X 【Amazon
下巻:ISBN4-00-114575-8 【Amazon
原題:DE BRIEF VOOR DE KONING(1962)


ダホナウト王国では四年に一度の夏至の日に、王によって見習い騎士の若者が正式な騎士に叙せられる。騎士叙任式前、騎士見習いの若者たちは24時間礼拝堂にこもって眠らず断食し、無言で過ごさなければならない。何が起ころうと、一言でも発したら資格を失う。16歳のティウリも、叙任式を控えて礼拝堂にこもる一人だった。
ところがティウリは、助ける求める男の声を耳にし、助けようと礼拝堂を出てしまう。男はティウリにウナーヴェン国王宛ての手紙を、森の小屋にいる白い盾の騎士に届けてほしいと頼んだ。しかし白い盾の騎士は、赤い騎兵たちの罠によって絶命する。騎士の遺言によって、ティウリが直接ウナーヴェン国へ出向き、国王へ手紙を届けることになってしまった。使者である証として、騎士から預かった指輪を持って。山脈を越えて西方へ旅することになるが、まずは隠者メナウレスを訪ねなければならない。

西のウナーヴェン国王には双子の息子がいた。長子は次代のウナーヴェン国王に、弟は南のエヴィラン国王を治めている。ところが弟のエヴィラン国王は、父と兄のウナーヴェン国に反旗を翻し、ウナーヴェンの地を狙って争っていた。そのエヴィラン国王が、父親と和解したがっているという噂が流れる。

なぜか灰色の騎士たちに狙われるティウリ。赤い騎兵やスパイたちの目を逃れながら、隠者メナウレスの住む川の源を目指す。そしてメナウレスの世話をしているピアック少年の案内で、大山脈を越えてウナーヴェン国へ。だが、ティウリに対して刺客が放たれており、二人の行く先々で罠が待ち構えていた。ティウリは無事にウナーヴェン国へ辿り着き、王へ手紙を届けられるのか?手紙には何が書かれているのだろうか?

********************

訳者あとがきによると、オランダの権威ある児童文学賞に、過去一年間に出版された本の中から選ばれる『石筆賞』というのがあるのですが、最優秀作一点が『金の石筆賞』、次点の数点に『銀の石筆賞』が授与されるそうです。
本作は1963年に、金の石筆賞の前身にあたる賞を受賞。2004年には「子どもの本の週間」50周年を記念して、過去50年間の『金の石筆賞』の中から、第一位に選ばれたのが本作品です。つまりベスト・オブ・金の石筆賞。オランダで最高と認められた作品ということですよね。

トンケ・ドラフト(女性)は1930年に、当時オランダの殖民他だったインドネシアのジャカルタ生まれ。第二次大戦中の1942年に、オランダ領東インド(現インドネシア)は日本軍に占領され、在オランダ人は日本軍に収容所で過ごすことを余儀なくされたのだそうです。彼女も母親と二人の妹と共に、日本軍収容所で過ごしたが、父親は捕虜として別の収容所に。1942年、家族と共にオランダへ帰国。その後に絵の勉強をし、美術教師へ。のちに作家デビュー。

ベスト・オブ・金の石筆賞だけあって、面白かったです。上下巻とわりに長い物語だけれど、最後まで惹き込まれて一気に読みました。いわば冒険小説で、大人が読んでも面白いのですが、小中学生ごろに読んでいたらもっと楽しめたんじゃないかな。
ティウリはミストリナウト城やナゾの灰色の騎士たち、大山脈越え、ダングリアの町、関守の領主など、各地を通過する度に様々な困難や人々に遭遇するのですが、その苦難をどうやって乗り越えるのか。当初のティウリは気張っていて大人びた態度をとろうとするのですが、ピアック少年が同行してからは、年相応の少年らしさを見せてくれて親しみやすくなりました。
少年たちの機知もさることながら、最後まで惹き付けられる理由に、ティウリは手紙を届けられのかということと、その内容についてでしょう。手紙を届けても、その内容は?叙任式前の儀式を放棄してしまったティウリは、騎士になれるのか?さらにピアックとの関係は?様々な事件やナゾが次々と起こり、それらがテンポよく語られるため、最後まで飽きずに惹き込まれました。

ティウリは苦難に遭いながらも、人としてのモラルを自らで学んでいく。しかし多くの人々に助けられたことを自覚しており、謙虚さを忘れない。勧善懲悪でちょっと教育的ではあるけれど、シッカリと筋が通っているので気にはならなかったです。
大人たちがティウリに接する態度は、経験値への考慮はするけれど、意外とシビア。主人公が「子どもだから」という甘やかしは感じなかったです。子どもだからという扱いはしないんですね。なのでティウリは、自分で考え学ばなければならない。
1965年には続編が書かれたそうです。本作で触れていながらも解明されていない部分がいくつかあるので、それらが続編で明らかになるのではないかと期待しているのですが。続編の翻訳を希望。(2006/8/8)

白い盾の少年騎士

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