スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

北風のわすれたハンカチ/安房直子

北風のわすれたハンカチ
安房直子

My評価★★★★

ブッキング(2006年4月)
カバー画・挿画:牧村慶子
ISBN4-8354-4224-5 【Amazon

収録作:北風のわすれたハンカチ/小さいやさしい右手/赤いばらの橋


1971年に旺文社から刊行され、ながらく絶版だった単行本の復刊。牧村さんの挿画が親しみやすさを増しているようです。牧村さん、昔はこういう絵を描いていたんですねえ。色遣いがどこか懐かしい。

読後にまず思ったのは、安房直子さんの童話はいま読んでも古びていないなあ、ということでした。「北風のわすれたハンカチ」と「小さいやさしい右手」は昔読んだことがあるのですが、いま読んでも、胸に響くものがありました。
安房さんの童話は、きれいで美しいだけの物語ではないんですよねぇ。人の醜さも描かれていて、そういった部分が子どもの時分より、大人になったいまの方が理解できるように思いました。

北風のわすれたハンカチ
くまはひとりぽっちでした。父さん母さん、妹、弟が人間にやられてしまったからです。
くまはさびしさを紛らわせるため、音楽を学びたいと思いました。そこで家の扉に、どなたか音楽を教えてくれるよう貼り紙をしました。
現れたのは、青い馬に乗った青い人でした。その人は北風だったのです。でも北風から音楽を学ぶことはできませんでした。次に北風の奥さんがやってきましたが、奥さんからも学ぶことはできませんでした。
それから北風の少女がやってきたのです。くまは少女と楽しいひとときを過ごします。去り際に少女は、青いハンカチを置いていきました。そのハンカチを使うと!?

********************

さびしがりやで気のいいくま。くまはなぜひとりぽっちなのか、というところに安房さんの文明批判があるような気が。
三度目の正直という言葉があります。一方で、二度あることは三度あるとも言われます。賽の目がどちらに出るかは、そのときになってみないとわからないのですが、ひどい目にあっても諦めず、もてなそうとするくまは偉いですね。そんな心根のやさしさが、くまに幸せをもたらしたのでしょうね。

小さいやさしい右手
昔、柏の木下に、一匹の子どものまものが住んでいました。まだ子どもなので、たった一つだけの魔法しか使えませんでした。それは右手を開くと、欲しいものを出すことができる魔法でした。
ところで、まものは人に姿を見られると、一人前になることができなくなるのです。

森の入口の貧しい小屋に、母親と二人の女の子が暮らしていました。母親は継子の妹娘に辛く当たります。
まものは木の陰に隠れて、妹娘を助けるのですが、そのことを知った母親は、まものに酷い仕打ちをしたのです。

********************

とても奥の深い作品。私は、安房さんの童話の中でも傑作に入るのではないかと思うのですが。この作品は、安房童話の特徴がよく出ていると思います。嫉み、憎しみ、怨みつらみといった負の感情と、慈悲や博愛の感情が描かれているのです。
粉屋のおばさんが善なら、継母は悪。まものは善悪の感情の間を揺れ動きます。匙加減で、どちらに傾くかわからない状態なんですね。どのような者でも心に闇を抱えることがあり、善にも悪にもなれる・・・。そのような恐さを描いた作品だと思うのです。

赤いばらの橋
鬼の子は、崖の向こうに行きたくてたまりません。音楽の聴こえてくる南の崖には、何があるのか知りたくてたまらないのです。
ある日、向こうの崖から、リボンのついた赤い帽子が飛んできました。小鬼は帽子の持ち主の女の子に会いたくて、蔦で一本の綱を編み、綱渡りをして向こうの崖に渡ります。
南の崖には、森の中にバラ園と香水工場がありました。小鬼が香水工場へ入ると、帽子の持ち主の小枝ちゃんが働いていました。小枝ちゃんは魔女の娘で、バラ園も工場も魔女のものだったのです。
魔女は小鬼を捕まえようとするのですが・・・。

********************

本書のなかでは毒気がなく、幼年童話らしい作品。未知の世界に憧れる小鬼の冒険譚といったところでしょうか。
赤いばらが、物語に視覚的効果を上げていると思います。南の崖は小鬼から見ると、ここは異界ではないでしょうか。異界との往還の物語と受け取れなくもありません。
ところで、小鬼はまた綱の橋を架けて、小枝ちゃんに会いに行こうとするのでしょうか。やりそうですね。小枝ちゃんは魔女の元で幸せなのでしょうか?それが気になります。(2006/4/26)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。