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ビッグ・サーの南軍将軍/リチャード・ブローティガン

ビッグ・サーの南軍将軍
リチャード・ブローティガン

My評価★★★★

訳:藤本和子
河出書房新社(1979年12月)[絶版]
コード不明 【Amazon
原題:A CONFEDERATE GENERAL FROM BIG SUR(1964)


ジェシーは5年前にサン・フランシスコで、もうすぐ23歳になるリー・メロンと知り合った。以来、二人は意気投合。
リー・メロンは若くてハンサムで威勢がいい。しかし歯がない。見るたびに義歯の数が違っており、付けている場所も違う。
リー・メロンの曽祖父は、南北戦争時代に南軍の将軍だったという。メロン一族自慢のオーダスタス・メロン将軍だ。ジェシーとリー・メロンは、図書館で将軍の記録を調べるが・・・。

オークランドで包囲戦をするリー・メロン。
彼はガスの本管のところまでトンネルを掘って、そこから自分でガスを引いて生活していた。だが、その後やむなく包囲戦を解いて、ビッグ・サーへ帰還。
ビッグ・サー、それは南北戦争の末期に、南軍のロバート・E・リー将軍(実在した人物)が、「第8ビッグ・サー大根食い人種志願兵団」に囲まれたところ。
アメリカ連邦南部同盟諸州の一つ(つまり地名。作者はゴーダという町を舞台にしたという)。ハイウェイ沿いにあり、サンタ・ルチア連山の片側がストンと落ちたところで、ほとんど浜辺のない太平洋岸に面している。
リー・メロンは失恋の痛手に打ちひしがれたジェシーを呼び寄せ、二人で小屋を建てて暮らし始める。そこへイレーヌ、次にエリザベスがやって来た。さらに正真正銘いかれた金持ちのロイ・アールが紛れ込んで・・・。

********************

リチャード・ブローティガン(1935-1984)による、いくつもの断片的なエピソードで綴られた作品。訳者あとがきによると、刊行されたのは1964年(作者29歳時)だそうですが、実際に書き進めていたのは『アメリカの鱒釣り』の執筆時期(1961年)に最も近いとのこと。
リー・メロンもジェシーも定職を持たず、お金がない。リー・メロンは各地を転々とし自由気ままに暮らす、いわゆるピッピーという感じ。
彼らと、後にやって来たイレーヌとエリザベスたちのビッグ・サーでの暮らしぶりは、まるで世界中の人々が死に絶え、いまや自分たちしか存在しないかのよう(人や車がハイウェイを通りかかるんだけどね)な、何となく隔絶しているかのような印象を受けました。

リー・メロンとジェシーがなぜ、何のためにビッグ・サーで暮らすのだろう?後半以降では、戦時下のオーダスタス・メロン将軍自身に焦点が当てられる章もあり、オーダスタス・メロンまでも登場させて、作者は何を伝えたかったのかな?ということを考えると、掴み所のない作品という印象が無きにもあらず。
リー・メロンは、崩壊したアメリカ社会の象徴、あるいは文明批判者とか、文明を茶化しているように受け取れます。でも、理屈で考えると捉えどころのないような気が。理屈や常識で考えないで、気楽に読むのがいいような。
ヒッピー時代を描いているとか、時代という文脈のなかで読まなくてもいいのではないかな。時代的な古さは特に感じませんでした。

何といっても最後の南軍将軍・リー・メロンのキャラクターが、破天荒で面白可笑しい!でも、どことなく哀愁を感じるのだけれど、なぜだろう。
たった一人のオークランド包囲戦は、一体何のためなのかよくわからないけれども、そのムチャクチャさが面白かった。対蛙攻防戦の切り札「キャンベルのスープ」にはウケました!ワケがわからなくて好き。
薬莢が空の銃で巻き上げた6ドル72セント。その金で飲んで酔っ払い、ボール紙をかぶって酒場の床にのびた姿。彼が作ったガソリン・タンクのないトラックは、ジェシーでさえ「ガソリン・タンクはどうしたのか?」と訊く気になれないという代物。
タバコがなくなり、ハイウェイに落ちているシケモクを拾いに、片道5マイルを往復する「たばこの儀式」。傍目には情けない姿なんだけど、彼は何とも思っていないんです。
ヒーローになりきれず、かといって悪人にもなれない。まるで本能だけで生きているかのような男。そんな彼の言動を追うだけで愉しめました。(2003/6/14)

追記:2005年11月、河出文庫から刊行【Amazon】。

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