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魔法使いとリリス/シャロン・シン

魔法使いとリリス
シャロン・シン

My評価★★★

訳:中野善夫
カバー画:朝倉めぐみ
ハヤカワ文庫FT(2003年12月)
ISBN4-15-020351-2 【Amazon
原題:The Spape-Changer's Wife(1995)


魔法修行に励む青年オーブリイは、変身の技を習得したいと願う。だが師匠シリルは変身の技を嫌って教えてくれない。そこでオーブリイは、変身の技では当代随一の宮廷魔法使いグライレンドンに弟子入りしようとする。

オーブリイは遠くの村にあるグライレンドンの館を訪ねる。途中、村人たちがグライレンドンを恐れ忌み嫌っていることを知る。
館へ着くとグライレンドンは留守で、魔法使いの妻リリスに出迎えられる。リリスの容姿は緑の瞳で、どこか魅力的な女性だが、何事にも無関心で感情が感じられない。
館には他に、炊事と掃除をする中年女性のアラクネと、狩りで食料を調達したり雑役をこなす大男オリオンが暮らしていた。

オーブリイはリリスと過ごすうちに、やがて彼女を愛し始める。だが彼女は、愛情とか憎しみとか嫉妬などの感情を理解できないと言う。
リリスはグライレンドンを愛しているのでも憎んでもいなかった。だが、彼女がほしいものを与えてくれるのはグライレンドンしかいないと言う。それはどういう意味なのか?
グライレンドンは変身の技を伝授してくれるが、技のすべてを教えてくれるわけではなかった。そこでオーブリイは自力で技を習得してゆく。彼が変身の技を理解したとき、リリスたちの秘密を知る。

********************

昨今の冒険活劇的な邦訳ファンタジーが多い中、久しぶりにゆったりと読める作品でした。
ロマンス色が強いけれど、私はこういうゆるやかなペースとムードの作品は嫌いじゃないです。新奇さはないけれど、くつろいで読めるから。シリーズではなく一冊で完結しているのもうれしい。しかし、エピローグはない方がよかったのでは。

好青年で楽天的なオーブリーと、謎に包まれたリリスのロマンス小説といった趣きがあります。前半はこれといった事件はなく、オーブリーがリリスに惹かれてゆく過程に重点が置かれています。
中盤でリリスとアラクネ、オリオンの正体が薄々わかってしまうのですが、それでも不思議と最後まで読ませてくれる。この物語の核心は、リリスの正体が何であるかではなく、それを知ったあとにオーブリーとリリスがどうするかにあると思います。

結婚する場合、良し悪しは別として、世間一般的に女性がそれまでの家や仕事など社会的な立場や環境を捨てて、男性に嫁ぐ。女性は失うものが多いけれど、反対に男性は少ないですよね。
ところがオーブリーとリリスは違います。リリスは自分の生き方を貫き通そうとするのです。そんな彼女の決心を、オーブリーは翻させようとするがままならない。
オーブリーの視点で語られることによって、愛とエゴは紙一重であり本来は同一のもの、ということがよくわかるように思いました。
二人の間にある障害は決して性差だけではないのですが、読み方によってはフェミニズム小説と言えるのではないでしょうか。(2004/1/22)

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