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のぼうの城/和田竜

のぼうの城
和田竜(わだ・りょう)

My評価★★★

解説(下巻):松田哲夫
小学館文庫(2010年10月,上下巻)
上巻:ISBN978-4-09-408551-8 【Amazon
下巻:ISBN978-4-09-408552-5 【Amazon


のぼうの城(上)のぼうの城(下)
戦国時代、関白となり豊臣の姓となった秀吉は、関東に勢力をもつ北条氏を倒すべく、根城である相模国の小田原城攻めを始める。
石田三成は、武州国で藤原鎌足を祖とする成田氏の忍城(おしじょう)攻めを任せられた。

忍城は周囲を湖に囲まれ、上杉謙信ですら陥落できなかった難攻不落の城。とはいえ約二万もの大群の前に、五百ばかりの戦力では到底勝ち目はない。
当主・氏長は、長年庇護下にあった北条氏のため、小田原城での籠城に馳せ参じつつも、裏では生き残るべく画策。
城内では当主の弟・泰高をのぞき、開城止む無しという空気が蔓延していた。坂東の猛者ぶりを天下にしらしめることなく開城という無念を噛み締める。

氏長の嫡男・成田長親は、領民からは木偶の坊を縮めて「のぼう様」と呼ばれていた。図抜けて背が高く横幅もあるが、動きが散漫で不器用、絶えずヘラヘラ笑っているような印象を受けるためだった。
三成軍が攻め寄り、無血開城となるはずの間際、降伏を覆したのは「のぼう様」だった!
城の者たちと領民は「のぼう様」を支持。彼を総大将として立ち上がる。

********************

戦国時代の「忍城水攻め」の史実をもとに展開するエンターテンメント性の強い小説。
約二万もの三成の大軍に対して、忍城は五百ほど。圧倒的な戦力の差を眼前にして、当初は無血開城する手筈だったのに、なぜ反旗を翻したのか。すべては「のぼう様」にあった!
のぼう様は、これまでにないであろう(と言えるほどこの手の小説は読んでないけど)異色のキャラクター。得心がいくかどうかは脇においといて、異色ではあろう。だが私としては、どの登場人物もこなれているとは言い難いなかでも、脇役たちのほうが光っているように感じた

不器用だが、それゆえにか領民に親しまれる「のぼう様」。彼のしたことはなんだったのか。
私には彼は本当に無能なのだと思う。彼には事を起こさせはしても、事態を収束する能力がないからだ。
皆々を一致団結させたことになるが、彼以外の者には結果はわかっていたはず。それを討ち死に覚悟で戦うというところに、まるで戦中の特攻隊のような印象を受けて憮然とさせられた。
ただし断っておきたいのは、作者は「のぼう様」を決して英雄扱いにしていないということ。

坂東の武者ぶりを示したいという血気を刺激し、皆を戦禍に巻き込き、土地を荒廃させた・・・。一旦荒れた田畠を元の状態に戻すのはとても大変なことなのだが、作者はそこのところがわかっているのか疑問を感じざるを得なかった。
また私には、農人にとって支配者が危機的状態にあろうと自分たちの生命が危険に晒されない限り、田畠を犠牲にしてまで自主的に参戦するとは思えない。人の土地への執着にはすごいものがあるのだから。
西欧史に散見するように、領民が城主を差し出して開城するほうが自然のように思われる。
ま、戦わずにして開城すれば「忍城水攻め」は行われなかったのだから話にならないのだろうけど。

全体しては軽くてシナリオ的なストーリーとセリフ回しだが、個人的好みを別にすれば歴史とエンタメのバランスはいいと思う。歴史小説を読み慣れていない人にはお手頃。
「おや?」と思わせられたのは、端々に作者の歴史的知識がうかがえ、もしもこの作者がエンタメに走らず歴史小説を書いたとしたら、どんな日本史観をみせてくれるのかと気になった。案外にこの作者は一筋縄ではいかないのではないかと思うのだけれど、さてどうだろう。(2012/11/19)

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