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別世界通信/荒俣宏

別世界通信
荒俣宏

My評価★★★☆

解説:阿見政志
ちくま文庫(1987年12月)[絶版]
ISBN4-480-02180-9 【Amazon


著者は、古代や中世における地理的な認識力の拡大を歴史的事象及びテクストから読み取り、別世界が創造されるまでに至った思想背景と、なぜ別世界を必要とするのかを説明しようとしています。テクストのサンプリングとして、中世文学や指輪物語などの様々な幻想文学及び幻想小説が挙げられています。
年代記や航海術によるパースペクティブの拡がりによってもたらされた「驚き(ワンダー)」が、空想世界への拍車をかけた。また、月への憧憬が別世界への想像を生んだ。
別世界が在ることを必要としているのではなく、別世界に実在することを必要としている点など、着眼点がユニーク。

内容が豊富なので、結論までに至る論証を省略せざるを得なかったのでしょうか。論理が飛躍しているように感じました。
例えば、夢の文学を創造しようとした古今の作家たちが築きあげた世界は、なるほど近代錬金術の中心的人物ロバート・フラッドによって体系化された世界像のように、「天使と魔物たちに満ちあれて」いる。しかし時空の彼方を旅するわたしたちは、天使や魔物たちが使用している摩訶不思議な仕掛けや尺度に自分の眼を合わせる必要などない。(中略)とことん昼の精神に慣らされてしまったわたしたちが、宇宙の神秘とそのシンボリズムを瞬間的に理解し得た無垢な童心をファンタジーのための尺度としようとしても、それはもう無理な話だろうから。(P20~21)
一見して感覚的にわかったような気分にさせられるセンテンスなのだけれど、このセンテンスだけでも著者にしか理解できない前提がいくつもあり、しかも説明は一切ない。根拠のハッキリしない断定文に疑問を感じざるを得なかった。
また、自身の根拠や前提を既知の共通認識のように扱っているため、この手の文学に詳しくない者としてはついていけなかった。あまりにも個人的な感覚に負いすぎるのでは。読んでいると感覚的になんとなくわかったような気になるのだけれど、理論的で実証的なのかというとかなり疑問を感じました。
でも、要はフィーリングの問題なのかもしれません。私とは相性が合わなかったのかも。

読みどころは巻末のブックガイド「書棚の片すみに捧げる180冊+2」。このガイドは必見でしょう。
ただし、本書は1977年に刊行された『妖精文庫別巻』のちくま文庫化なのですが、データも1977年当時のもの。現在では絶版や廃版で入手困難な本も多々あり、読みたいと思っても気軽に読めないのが悲しいところ。(2001/2/16)

追記:2002年7月、イーストプレスから『新編 別世界通信』が刊行【Amazon】。ちくま文庫版とは内容が変更されているとか。

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