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肩胛骨は翼のなごり/デイヴィッド・アーモンド

肩胛骨は翼のなごり
デイヴィッド・アーモンド

My評価★★★☆

訳:山田順子
東京創元社(2000年9月)
ISBN4-488-01399-6 【Amazon
原題:Skellig(1998)


引っ越したばかりでばかりで何も片付いていない家、倒壊寸前のガレージ。危険だからと両親に禁じられたガレージに入ったマイケル。そこには黒いスーツを着た奇妙な男がいた。
髪は蜘蛛の巣に覆われてアオバエの死骸がついていて、肩胛骨には不思議な出っぱりがあった。彼は「スケリグ」と言った。マイケルは彼に食べ物と、彼の要望する27番と53番を差し入れする。

隣家の少女ミナは学校教育に否定的で、学校へ行かずに母親に勉強を教わっていた。マイケルとミナは、近々撤去されるガレージからスケリグを別の場所へ移す。
元気になったスケリグはみんなで手をつなぎ、まるでダンスのようにゆっくりと回り始め、マイケルとミナは不思議な体験を共有する。スケリグは何者なのか?

マイケルには赤ん坊の妹がいて、生死が危ぶまれていた。赤ん坊は心臓を手術することになる。マイケルは気持ちが落ち着かず、学校へ行くどころではなかった。彼は家を改修する父親を手伝い、ミナと過ごす。
ミナがスケリグに会いに行くと、彼はじきに行ってしまうと言う。どこへ・・・?

********************

1998年、ウィットブレット賞とカーネギー賞を受賞。
シルクのようになめらかで、ふわりとした質感で半透明の闇。そう、私には闇に質感があるように思われました。闇とは作中における夜の描写のことではなく、この作品を読んで私が感じた全体的なイメージ。生と死、と言うよりも死への不安によって降りかかる闇のこと。独特の闇の静謐さが、しっとりとした幸福感へと誘うかのよう。

スケリグは黒いスーツを着て、肩胛骨に奇妙な出っぱりがあり、死骸を食べるためひどい口臭がする。獣性と聖性が同居する不可思議な存在。
彼のような存在にこれほど奇妙な属性を持たせるのは珍しく、彼の存在感によって、この作品が成り立っていると言っていいのではないでしょうか。加えて、ときには鼻持ちならないほど高慢になり、ときには慈しむようにやさしくなるミナ。ミナが誰よりも生命力に溢れていました。

この作品はデイヴィッド・アーモンドの長編第一作であり、第一長編でのカーネギー賞の受賞は、63年に及ぶ同賞の歴史のなかでわずか5度目なのだそうです。でも正直に言って、独特の味わいはあるけれどカーネギー賞を受賞するほどなのかなあ、という気がしなくもない。
雰囲気は好きですが、雰囲気だけで読ませているような気がしなくもない。全体的に悪くはない。悪くはないんだけれど、何かが足りない。(2002/8/14)

追記:2009年1月、創元推理文庫化【Amazon

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