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放課後のギャング団/クリス・ファーマン

放課後のギャング団
クリス・ファーマン

My評価★★★★

訳:川副智子
ハヤカワ文庫NV(2001年3月)
ISBN4-15-040977-3 【Amazon
原題:THE DANGEROUS LIVES OF ALTAR BOYS(1994)


1974年、13歳のぼくらはゴッドファーザーを読んだティムの発案でギャング団を作っていた。
厳格なカトリック学校で芸術家(アーティスト)として知られているぼくらは、卒業制作に斬新なアイデアを盛り込んで取り組む。
だが、ぼくらが描いたアダルトコミック『ソドムVSゴモラ'74』が神父にみつかり、卒業できるかどうかあやしくなった。こんなことで放校されてギャング団の伝説を残すのは恥と、ティムはさらなる計画を立てる。

折りしも白人警官による黒人のリンチ事件が発生。町には黒人による抗議デモなど、不穏な空気が流れていた。
ぼくフランシスは事あるごとにベルトで鞭打つ父の目を気にしながら、ヘルニアに悩まされつつ、計画とマージーとの恋に駆けずり回る。

********************

本作はクリス・ファーマン(1960-1991)唯一の著書にして、歿後に上梓されたそうです。
70年代のテレビ番組、アニメ、コミック、歌がふんだんに語られます。フランシスとマージーに顕著にみられる家庭(崩壊)問題など、この作品には70年代という時代が凝縮されているよう。
フォークそのものを非難するわけではないのですが、私も教会のフォーク・ミサには違和感を感じました。アメリカ人でもそう思う人がいるんですね。

1974年頃といえばウォーターゲート事件で有名ですよね。その当時は、まだ人種間の対立が顕著な時代だったんですねぇ。
フランシスの周囲でも、人種間の対立と無縁でいられない。ギャング団の面々は、肌の色で人間を見分けてはいけないと自戒しているけれど、現実にはなかなか難しい。
ギャング団がデモ隊の一部に取り囲まれたとき、学校で敵対している同級生に助けられる。その同級生は個人的怨恨と人種間の問題に一線を引いて考えているんです。
ティムが南北戦争について修道女に反論するのですが、少年たちは従来の一面的な価値観に対する疑念や現代社会の欺瞞を喝破します。
ギャング団は、たんに奇抜なことをしたい者の集まりではなく、反体制という側面があるんです。

でも社会の欺瞞とか反体制といったことを抜きにして、思春期特有の大胆で繊細、傷を負わなければすまされない日常を泳ぎ、大胆不敵な<伝説>を残そうとするギャング団。そんな少年たちが、等身大に描かれているんです。
少年時代を扱った多くの作品がノスタルジアに満ちていると思うのですが、この作品には辛辣で深刻な苦い悲しみが感じられました。にも関わらず輝いているんですよ。それは、少年たちのしなやかさにあるのではないかと思いました。(2001/12/13)

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