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ポンペイの四日間/ロバート・ハリス

ポンペイの四日間
ロバート・ハリス

My評価★★★★☆

訳:菊池よしみ
ハヤカワ文庫NV(2005年3月)
ISBN4-15-041078-X 【Amazon
原題:Pompeii(2003)


物語は紀元79年8月22日、ポンペイのヴェスヴィオ山噴火二日前始まり、噴火当日を経た翌日までの計四日間の出来事。世界史的に有名な「ポンペイ最期の日」を再現した小説。

27歳のアッティリウスはアウグスタ水道の管理官として、急遽カンパーニア地方のミセヌムに派遣される。前任者エクソムニウスが失踪したためだった。
時ならず、解放奴隷の身から大富豪となったアンプリアトゥスの養魚池で異変が起こり、アッティリウスはアンプリアトゥスの娘コレリアに水質調査を頼まれる。
その結果、アウグスタ水道の水に硫黄が混じり、干上がりつつあることが判明。距離にして95kmのアウグスタ水道(水道橋)のどこかで、水道の母管が壊れて水が流出しているらしい。
故障箇所がポンペイのヴェスヴィオ山に設置された母管と判断したアッティリウスは、提督プリニウスから二日間の断水の間に工事完了させるという期限付きで、技官たちを引き連れてポンペイへと向かう。

アッティリウスはポンペイで人員と資材を調達しようとするが、町の有力者たちは非協力的だった。しかし、ポンペイに戻っていたアンプリアトゥスが提供してくれた。彼の邸宅でアッティリウスは、コレリアが父親の金儲けのために、意に沿わない結婚をさせられようとしていることを知る。

アッティリウスは、なぞの失踪を遂げたエクソムニウスの行方を捜すが、なぜか皆一様に口を閉ざしてしまう。エクソムニウスはどこへ行ったのか?なぜ姿を消したのか?
しかし、まずは水道管を補修しなければならない。補修を終えた彼は、ヴェスヴィオ山の異変に気づく。そのアッティリウスの命を狙う者がいた。そして、運命の日がやってきた!!

********************

何と言ってもローマ、ポンペイは私のツボ!本書の帯に「歴史小説、教養小説、サスペンス小説の三重の面白さが味わえる(以下略)」とあるのですが、そのとおり!
ヴェスヴィオ山の噴火によってポンペイが壊滅したことは殆どの人がご存知のように、読む側はポンペイに何が起きるのかすでに知っています。わかっているからこそ緊迫感が高まり、限られた時間でアッティリウスに何ができるのか、異変を察知できるのか?「水道管を直している場合じゃないんだよ、なぜ気づかないんだよ!」とジリジリ焦らされる。
コレリアはどうなるのか?二人は無事に脱出できるのか、とハラハラしながら見守ることになるサスペンス。さらに、エクソムニウスの失踪がどう関わり判明するのか、というナゾが絡みます。

そして、死の火砕サージが!
噴火の全過程で放出された熱エネルギーの総量は、広島型原爆の十万倍だとか。十万倍とは想像を絶します。
綿密にリサーチされた最新(執筆当時)のポンペイ遺跡調査の知識が盛り込まれ、壊滅時の様子が迫真に活写されていました。
ポンペイが壊滅へと至る経緯はもちろんですが、当時のローマ人及びローマ社会の様子が、細部までリサーチされていることが伺えます。
物語の魅力の一つには水道管いわば土木技師を主人公に据え、ローマ最大の水道という、私たちにとってはその巨大さ施工術ともに驚異の遺跡について描写していること。
アウグスタ水道(及び水道橋)は、その名のとおり初代皇帝アウグストゥスが敷設させたもの。距離にして95kmなのだそうで、巻頭の略地図を見ると、とてつもなく長大な水道であることがわかります。

話はずれますが、一つ気になるのが、ジュピターではなくユピテルでよかったのではなといかということ。同一の神の名であっても、ギリシャとローマでは宗教的には異なるのではないかなぁと思うので、ローマ圏なのにジュピター神殿なので違和感があるのだけれど。日本の読者向けにジュピターと訳したのかな?
ともあれ、歴史とエンターテインメントが巧く融合している小説だと思います。ポンペイとローマに興味のある人には特におすすめ。(2005/3/29)

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