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アインシュタインの夢/アラン・ライトマン

アインシュタインの夢
アラン・ライトマン

My評価★★★

訳:浅倉久志,解説:中村桂子
ハヤカワepi文庫(2002年4月)
ISBN4-15-120017-7 【Amazon
原題:Einstein's Dreams(1993)


スイス特許局に勤める26歳のアインシュタインが、特殊相対性理論の論文を完成するまで、約2ケ月間にみた日々の夢。アインシュタインがみたかもしれない30通りの夢の世界を描く。

時間がグルグルと円環する世界。裕福な人々が山上に住まう世界は、高い場所になるほど時間の流れが遅くなり、それによって長生きできるから。
散らかしても時が経つと自然に片付けられる、時間が秩序へと向う世界。
静止した時間、過去や未来のない世界。たった一日しか生きない世界、時間が目に見える世界、場所によって時間の流れる速度が異なる世界。
速く移動すればするほど余分な時間を手に入れられる世界では、家までもが高速で移動し続け、人々は誰よりも多く時間を手にしようとする。時間が量ではなく質である世界など様々。

プロローグとエピローグ、インタールードでは、アインシュタインと親友のミケーレ・ベッソーとの会話によって、若きアインシュタイン像が浮かび上がる。

********************

アメリカの現役理学博士アラン・ライトマン(1974年生れ)による、「もし時間がこうんなふうだったら?」という if の世界。物理学の用語や法則が飛び交う難解な作品ではなく、誰もが理解し想像できるワンダーランド。

様々な時間の流れる世界で人々はどう対応するのか。目で見ることも触れることもできない時間。時間というものの掴み所のなさ、不可思議さを表現していると思います。また、時間に拘束された現代社会を皮肉った作品とも言えなくはないかな。
30通りの時間が流れる世界のなかには同じような設定もあるけれど、いろんな時間の流れを想像したサンプリングとしては面白かったです。私なら、散らかしても時間が片付けてくれる世界がいいなあ。

しかし、全体になんとなく釈然としなかった。例えば記憶のない世界、つまり過去のない世界なんだけど、昨日までの記憶がないのにどうやって言語を習得し、教育を受け、仕事を覚えることができるのかな?
世界が一日しかない世界では、誰が家を建てたり仕事をしようなどと思うだろう。
未来のない世界ではテーブルに坐った青年が雨雲を見るのだけれど、雨が降るだろうことを予測できない。でも未来はなくても過去があり、経験による記憶があるのだから、現時点の状況を判断することは可能なはず。
他にもひっかかりを覚える箇所はいろいろあったけれど、作者は敢えてややこしい理論を切り捨てたとも考えられます。
私には、学者による若書きのように感じられました。才気の迸りに筆を任せてしまい、細部まで深く熟考する努力が多少足りなかったのではないかな。イメージばかりが先行しすぎていてる感が否めませんでした。(2002/5/4)

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