スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

風狂王国/アンドレ・マルロー

風狂王国 幻想短篇集
アンドレ・マルロー

My評価★★☆

訳:堀田郷弘
福武文庫(1991年9月)[廃版]
ISBN4-8288-3216-5 【Amazon

収録作:
風狂王国(物語)/イスパハン遠征 『風狂王国』補篇
紙の月;プロローグ,I・戦闘,II・旅,III・勝利
ラッパの鼻をした偶像のための書(風狂コント);飼い慣らされたハリネズミたち/人形倒し遊びの消防夫の日記/縫いぐるみの熊のための書/凱旋/フランス庭園のゴムの兎たち


作家であり、ド・ゴール内閣の文化大臣として活躍したアンドレ・マルロー(1901-1976,フランス)が、1920年代の青年時代に書いた作品をセレクト。
デビュー作『紙の月』(1921年)を初めとした、マルローの初期の短篇集。

訳者によると、1920年代のフランス文学界に花開いた立体派(キュビズム)、ダダ、シュールレアリスムなどの影響がみられるという。
幻想小説というよりも、寓意とかナンセンスものというほうが近いかな。ダダやシュールレアリスムという観点で読んだほうがいいのかもしれません。
マルローがこういう作品を書ていたとは思いもしませんでした。当時としては斬新で新鮮だったかもしれないし、フランス人の異国趣味をたっぷり満たしてくれたのかもしれない。けれども、現代人の私にとっては面白いとは思いませんでした。底が浅く青臭い。福武文庫でなければ途中放棄していたろうし、こうして書くこともなかったかな。

本書はどの短篇も、言葉が紡ぎだすイメージで構成されていて、それらイメージの持つ寓意が重要なのだけれども、たんなる言葉の羅列に終わってしまっている感がしてならなかった。
あるイメージと別のイメージの組み合わせによって新たなイメージが幻出してくる・・・ところまでいっていないんですね。たんにイメージを羅列しただけのようにしか思えませんでした。作者は自分の文章に酔っているんじゃないかあ、という印象を受けるんだけど。
『王道』もそうでしたが、テーマが掘り下げられておらず、とても表面的に感じられる。素材はいいのだけれど、調理方法が拙いみたいな。
器用なのはわかる。でも作者の真摯さが伝わってこないため、時流をキャッチするのとそれに乗るのが上手かっただけではないのか、と思えてしまって。もっとも、代表作といわれる『人間の条件』や『希望』は、未読なので、いまの時点でマルローを判断するのは早計なのでしょうが。

風狂王国
王の軍隊がイスパハンを占領しようとする。だが、住人たちは城壁に囲まれた町の中心部に隠れてしまい、そこへの入り口が見つからない。食糧は尽き、サソリが軍隊を襲い、兵士たちはじわじわと恐怖に蝕まれてゆく・・・。

********************

異文化や異教徒を理解しよういう姿勢は感じられませんでした。作者の姿勢は常に白人至上主義ではないのか、と思えてしまう。
何のために異国を舞台にしたのだろう。ただの異国趣味としか思えず、それ以上のものが感じられませんでした。

紙の月
生前は人間だったが、風船の形をした寓意たちに生まれ変わる。寓意は忿怒、淫乱、貧食、怠惰、傲慢といった大罪たち。大罪たちは風狂王国を目指し、やがて自分たちを破壊しようとする死神を亡きものにしようとする。

********************

絵画では寓意がよく描かれるけれど、こうして文章にされるとイメージが拙いため、絵画に軍配を上げる。文才があり器用ではあるのだけれども、深みがない。寓意の意味を理解し文字でイメージ化するには、作者が若すぎたのだろうと思います。

ラッパの鼻をした偶像のための書
怪物「ト音記号」と戦うため、音楽家が選出され派遣される。音楽家たちは、ト音記号が音楽に酔っている間に捕まえようとする。消防夫と、奇妙な生き物たちとのショート・ストーリーズ。

********************

一連のストーリーは、消防夫の日記という体裁をとっています。寓意は抑えられていて、軽やかなナンセンスさが際立っていました。怪物の名前を「ト音記号」としたところがいい。(2007/11/30)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。