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遠い水平線/アントニオ・タブッキ

遠い水平線
アントニオ・タブッキ

My評価★★★★☆

訳:須賀敦子
白水社(1991年9月)
ISBN4-560-04279-9 【Amazon
原題:Il filo dell'orizzonte


元々は市民病院だったが、いまでは死体収容所として使われている病院に勤めているスピーノ。彼はいわば死体管理人だった。
ある日、発砲事件で亡くなった青年の死体が収容所にやって来た。青年の身分証明書は偽造で、なぜ撃たれたのかも不明。
スピーノは青年の身元をはっきりさせてあげるために、かつて青年が世話になった修道院の神父や、青年が着ていた上着を作った仕立て屋に会う。そして裏の世界へと踏み込んで、あやしい薬草専門店へと赴く。
誰かがスピーノを監視しているように感じる。でも誰?
約束の波止場へと向かったスピーノが得た真実とは!?

********************

初めてのタブッキ。1986年に発表された作品だがちっとも古びていませんでした。
あちこちに伏線はあるのですが、細部にこだわらずともかく最後まで読みました。すると、いつの間にかスルリと現実と虚構がすり替わってしまい、肩すかしを喰らった気分に。そしてスピーノと一緒に、スコーンと憑物が落ちて、細々とした堅固な日常から開放されたよう。
「やられたなあ」と苦笑いするしかないけれど、この開放感が心地よかったです。「おぉっ」と感嘆するのではなく、じわじわと効いてくる感じかな。
作者による『余白につけた註』と訳者あとがきを読んで、「なるほど」と納得しました。あとがきを最初に読んでも悪くはないけど、最後に読むことをおすすめ。そのほうが「やられた」という感じが大きくなり、スピーノが自分の部屋の整理することを理解しやすいと思います。

忙しくて様々なことがうざったいと思ったとき、現実がぼんやりと薄雲に包まれているように感じたとき、この本の持つ開放感に浸るのもいいですね。
この物語には「答え」はない。ただ、現実を従来とは違った角度で見る視点を示していると思いました。
私たちは現実は堅固で動かしようのないものだと思って、その現実に沿うようにあたふたして息詰まることがありますよね。しかし見方・考え方によって、現実は堅固なものではないのかもしれません。要は現実に囚われるのは賢くないよ(愚かだというのではなく)ということだと思うんです。

備考:白水uブックス【Amazon】も有り。(2001/2/27)

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