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喜知次/乙川優三郎

喜知次
乙川優三郎

My評価★★★★★

解説:縄田一男
講談社文庫(2001年3月)
ISBN4-06-273077-4 【Amazon


江戸から離れたとある藩。幼なじみの3人、上士の日野家の息子・小太郎、日野家よりは格は下がるがそれなりに家格のある台助、下士の家格の猪平。
日野家に、両親を亡くした花哉(かや)が養女としてやってきた。 妹となった花哉を、小太郎は『喜知次』という魚に似ていると思い、以後は喜知次と呼ぶことに。

猪平の父親が、藩内の権力抗争の犠牲となった。この事件をきっかけに、少年たちはいやがうえにも現実に目を向け始める。
抗争の犠牲にされた下士の猪平一家。抗争に明け暮れたがゆえに藩政が疎かになって窮乏し、 結果として下々の暮らしを圧迫している藩。小太郎は藩政改革への道を目指す。

********************

3人の少年が成長しそれぞれ己が道と真実を追究する姿が、藩の抗争と改革を絡めて描かれています。現実に即さない政策と上ばかりを見る権力抗争の図は、現代の社会に当て嵌められているよう。
そうそう、解説は本文読了後に読んだほうがいいです。

読んでいる最中は、少年たちが複雑怪奇な権力抗争に巻き込まれながらも成長する物語なのに、なぜタイトルが喜知次=花哉なのか疑問をました。花哉の出番は少なすぎて不満があるほどなのに。
この疑問は最終章で明らかにされ、思わず目頭が潤んでしまいました。そして静謐な余韻に浸る・・・。改めてそれが全編を覆っていることに気づかされ、なんと巧緻なのだろうと感嘆しました。
小太郎もそうだけれど、清冽なのはむしろ花哉。やはりタイトルは『喜知次』でしかないと思いました。
花哉は封建制度下での男性優位社会における、婦女子の立場を体現。ほのかに母性を感じさせるところが、男性の理想とする女性像なのかも。一般的に男性の描く女性像というものは、どうしても母性と切り離せないような。

二読すると、一層感慨を深めそう。様々な不遇と理不尽な状況に圧されずに、己が信念の道を生きる者たちの姿が哀しくもいとおしい。(2001/4/5)

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