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時計はとまらない/フィリップ・プルマン

時計はとまらない
フィリップ・プルマン

My評価★★★☆

訳:西田紀子
カバー画・挿画:ピーター・ベイリー
偕成社(1998年10月)
ISBN4-03-700040-7 【Amazon
原題:Clockwork or All wound up(1996)


まだ電気も自動車もなかったころのお話。
ドイツの小さな町の酒場『ホワイト・ホース亭』の客たちは、作家のフリッツ青年が自作の物語を読み聞かせてくれるのを心待ちにしていた。 だが、時計職人の見習い工カールは隅で陰気な顔をしていた。
明日はカールの見習い期間が明ける。見習いはその期間の終わりに、ゼンマイ仕掛けの人形を作って、グロッケンハイムの大時計に据え付けるのが慣わしになっている。しかしカールは人形を作れなかった・・・。

フリッツの物語は、オットー大公と幼いフロリアン王子の話だった。
大公は王子を連れて、友人の男爵と狩りに出かけたのだが、帰ってきたのは大公と王子のみ。しかし大公の様子がおかしい。
実は大公は王子のことで、内密にカルメニウス博士に会うため出かけたのだった。 カルメニウス博士はヨーロッパ一頭がよく、ゼンマイ仕掛けを作る腕前にかけては右に出る者がいないという。だが、その顔は残酷な好奇心に満ちていた・・・。

そのとき、ホワイト・ホース亭に一人のお客が現れた!
みんなはいっせいに酒場を退散。男は一人残っているカールに、ある事をもちかける。カールは男の提案を受け入れ、早速準備にかかるために店を飛び出した。
酒場の主人の娘で幼いグレーテルは、ロリアン王子のことがかわいそうで気になって眠れなかった。幼いグレーテルが店のストーブで暖をとっていると!?

********************

一度語り始められた物語は、語り手を離れても結末まで突き進むしかない。しかし、いったい誰がどうやって物語を終わらせるのか?
ネタバレになるのであまり書けないのですが、スリルとサスペンス、そしてやや怪奇小説風な不気味さに彩られています。中篇というぐらいの長さの作品ではあるけぞ、グイグイと読ませてくれました。プルマンは物語の作り方、物語の進め方が巧いですね。
一瞬「メタ仕掛けか?」と思わせつつ、そうならないところは昔話を意識してのことかも。あるいは読者層を意識してのことか。

たぶん18世紀ごろのドイツを舞台にしているんじゃないかな。でも、時代と場所にこだわらない書き方をしています。ドイツの昔話によくありそうな話をベースにし踏襲つつも、古めかしさを感じさせない現代的な作品。
ドイツの昔話などは、結局のところ神と悪魔という神秘主義的色彩の濃い話になってしまうことがあるけど、プルマンの場合は特定の信仰心を抜いて、あくまでも人間の物語としています。悪魔という宗教的存在を意識させない。そこが昔話との違いかな。
しかしカルメニウス博士とそのゼンマイ仕掛けの謎など、不可思議あるいは神秘的な部分は残されます。幾分かの謎が残されているからこそ、昔話は語り継がれてゆく。そうした点を意識した上で現代的に語り直した作品、と私は受け止めました。(2004/9/17)

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