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聖女の遺骨求む/エリス・ピーターズ

[修道士カドフェル・シリーズ1]聖女の遺骨求む
エリス・ピーターズ

My評価★★★☆

訳:大出健,解説:大津波悦子
現代教養文庫(1990年11月)[廃版]
ISBN4-390-13001-3 【Amazon
原題:A Morbid Taste for Bones(1977)


12世紀半ば、ウェールズに近いイングランド。ベネディクト会派シュルーズベリ大修道院で、修道士カドフェルは薬草園の世話をしていた。
カドフェルは若いころ十字軍に参加してエルサレムで戦い、後に船長となりイスラムの海賊船と戦ったこともある。だが、壮年となったいまは世俗を捨て、修道院で薬草の世話に明け暮れていた。

野心家の副院長ロバートは、近隣の小修道院に聖骨があるのに、シュルーズベリ大修道院に聖骨がないことに屈辱を感じていた。折りしも若き修道士コロンバヌスが、聖女ウィニフレッドの啓示を受けた。
ロバートは、ウィニフレッドをシュルーズベリ大修道院の守護聖人とすることに決めた。
聖女の遺骨はウェールズの打ち捨てられた教会の墓地にある。ロバートは自ら指揮を執り、コロンバヌスや通訳のカドフェルらを従え、遺骨を求めてウェールズへ乗り込む。
ところがロバートの性格が禍いし、地元の有力者リシャートの反対にあう。そのリシャートが殺された!カドフェルは犯人探しに乗り出す。

********************

12世紀のイングランドを舞台にしたミステリー。当時のイングランドはウェールズとは別個の国であり、両国の風習や言語は異なっていた。
十字軍が東方から聖遺物を持ち帰ったこともあって、聖骨を祀るブームがおこったそうです。人々は聖遺物(主に聖骨)を得るためならどんなことでもしたという。他の教会から掠め取る「神聖盗掠(フルタ・サクラ)」とか。
また、当時はコロンバヌスのように、お告げや聖者幻視などの超常現象を体験し、それを語る者が多く現れたといわれる。
そんな時代背景がたんなる雰囲気作りの飾りではなく、ストーリーと密接に絡み合っているんです。この時点で私としては好感触。
歴史を知らなくても時代背景が非常にわかりやすく、現代人の感覚で読んでも、違和感のない登場人物を配しているのがこの作品の魅力。

最大の魅力はカドフェルの人物造型でしょう。彼の一風変わった前歴はもとより、対人関係や事件解決法にみられるように、いい意味で世慣れてサバけた性格(軽い性格というのではなくて)。
彼の解決法は、単に善を追求し犯人を暴くというものではない。カドフェルは事件を解明すると同時に、関係者が納得できるようにし、愛し合う若者たちなどを各人各様におさめるため奔走する。カドフェルが犯人を告発して一件落着という話ではなく、同時進行する複数の問題をもそれぞれ収めてゆく、というところに面白味がありました。彼は正攻法とは言えない手段を用いるんですがね。
ロバートの一行がシュルーズベリに持ち帰ったもの、そのためにカドフェルがとった手段。小気味よく皮肉が効いていて、尚且つ後味がスッキリしてました。

備考)2003年3月から光文社文庫より順次復刊【Amazon】(2003/9/3)

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