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修道士の頭巾/エリス・ピーターズ

[修道士カドフェル・シリーズ3]修道士の頭巾
エリス・ピーターズ

My評価★★★☆

訳:岡本浜江,解説:大津波悦子
現代教養文庫(1991年5月)[廃版]
ISBN4-390-13003-X 【Amazon】
原題:Monk's-Hood(1980)


1138年12月、スティーブン王と女帝モードの内乱は続いていたが、シュールズベリからは危難が去った。ヘリバート修道院長はロンドンでの教皇使節公会議に出席するため旅立。ヘリバートが留守の間、修道院は副修道院長ロバートに委ねられた。
カドフェルは見習い修道士のマークを助手とし、平穏な日々を送っていた。
修道院にモーリリー荘園を寄進したボーネル一家が、院内の家作を借りて余生を送るべく引っ越してきた。ジャーヴァス・ボーネルは、妻と連れ子の少年エドウィン、下男のエルフリック、メイドのオールディスと暮らし始める。家には時折り、ボーネルの妻の娘婿の徒弟ミューリグ青年がやって来ていた。

ある夕、ご馳走にありついたロバート副院長は、料理をジャーヴァス・ボーネルに分け与えるべく届けさせた。ところが料理を食べた直後、ジャーヴァスは死んでしまう。カドフェルは現場に駆けつけるが、そのときボーネルの妻が、若かりし頃の恋人リチルディスであることを知る。
死因は料理に入った毒だった。その毒はカドフェルが調合し、彼の施薬所から盗まれたものだった。犯人にはジャーヴァスと不仲だったエドウィンが疑われた。
リチルディスから息子エドウィンを助けてくれるよう頼まれたカドフェルは、真犯人探しに奔走する。

********************

若かりし頃のカドフェルの恋人が登場!これでカドフェルの過去が明らかに?!と思いきや、案外にもそうはならない。
一つにはカドフェルが現行の自分に満足しているからであろうし、登場人物が現在を生きることに目を向けているからだろう。それは作者自身の性向でもあるのかもしれません。

読み手は『修道士の頭巾』(トリカブトのこと)というタイトルから、毒殺を扱った事件であることが読む前からわかっているわけですよね。しかし、誰が何のためにどうやってジャーヴァス・ボーネルを毒殺したのか?しかも衆人環視の中で。
ジャーヴァス・ボーネルと周囲の人間関係はうまくいっておらず、誰もが容疑者たり得る。それはジャーヴァスが尊大だということもあるけれど、対人関係に不器用だということにもよる。作者はジャーヴァスをまったくの悪人ではなく、人間味ある人物として描き出しています。こういったように人物造形に深みがあるから、エリス・ピーターズを好ましく感じます。
部外者から見れば、カドフェルも容疑者の一人という状況に置かれるなか、カドフェルは真犯人の探索に乗り出す。手がかりは意外な場所にあった!
こんな展開になるとは、イギリス作家によるイギリスを舞台とした歴史ミステリーならではでしょう。奥が深い。
カドフェルは真犯人を糾弾するのですが、罪を憎んで人を憎まず。人は弱く、如何ようにも揺れ動くもの。だからこそ罪を犯しても贖うことができるのでしょう。被害者よりも加害者の人権を尊重することがいいかは難題ですが、このシリーズの魅力の一つであると思います。

州執行副長官となったヒュー・ベリンガーが再登場。でも結婚すると人間が丸くなるのか、前作でのミステリアスさが消え、「いい人」になってしまったのがもの足りないなあ。ベリンガーには危険な男でいてほしかった。
出番は少ないけど長老アイヴァ・アプ・モルガンは印象的な人物で、そのうち再登場してほしい。
ヘリバート院長が留守の間、ロバート副院長は意気揚々と構えていた。なぜならヘリバートが解任させられ、ロバートが新院長に就任するかもしれないから。取らぬ狸の皮算用ですね。帰って来たヘリバートとロバートのやりとりが一興。ささやかな一矢を放つヘリバートの姿に、初めて親しみを持てました。

備考)2003年5月、光文社文庫より刊行【Amazon】(2003/12/3)

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