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氷のなかの処女/エリス・ピーターズ

[修道士カドフェル・シリーズ6]氷のなかの処女
エリス・ピーターズ

My評価★★★★☆

訳:岡本浜江,解説:大津波悦子
現代教養文庫(1992年3月)[廃版]
ISBN4-390-13006-4【Amazon
原題:The Virgin in the Ice(1982)


1139年11月、内乱が激しくなり、ウスターの町の人々はシュルーズベリへ逃げ込んだ。
ウスターを脱出した貴族の姉弟と付き添いの修道女ヒラリアは、シュルーズベリの修道院を目指している途上で行方不明になった。姉はアーミーナ・ユーゴニン、弟はイーヴ・ユーゴニンという。

カドフェルは重症人の看護をするために、ブロムフィールド小修道院へ向かう。ケガを負ったのはエルヤス修道士といった。
エルヤスはブロムフィールドへと聖骨を運んで来たが、その帰り道で何者かに襲われたのだった。エルヤスのうわ言から察するところ、彼はどこかでユーゴニン姉弟とヒラリア修道女と出遭っているらしい。

イーヴを見つけ出したカドフェルは、少年をブロムフィールド小修道院へと連れ帰ろうとする途中、凍った川の中で娘の死体を発見。娘はヒラリア修道女だった。
この地方では、荘園や村を襲い焼き尽くす盗賊団が跋扈している。ヒラリアは盗賊に襲われたのだろうか?アーミーナはどこにいるのか?
アーミーナの行方を聞き込みしていたカドフェルは、黒い肌の若者がアーミーナを探していることを知る。若者は何者なのか?

********************

行方不明となった貴族の姉弟と、二人を探し暗躍する謎の若者。氷のなかで発見されたヒラリア修道女は誰に殺されたのか。また、エルヤス修道士はなぜ重症を負ったのか。そして跋扈する盗賊団。
いくつもの謎が交錯し、これまでのシリーズ中ではいちばん複雑な展開になっています。複雑さ以外でも、これまででいちばんよかった。哀しい話だけれど。

事件の発端はアーミーナの強引さから始まるといっていいでしょう。はじめはなんて我儘な娘だろうと思ったけど、彼女にも言い分があり、その気持ちはわからないではない。自分の言い分を胸に秘め、ぐっと耐える気丈さがあるので責めることはできない。
氷の中から発見された美しきヒラリア修道女。彼女には何の咎もないのに・・・。突然に命を断ち切られる理不尽さに、怒りよりも哀しみを誘われる。無垢な彼女の死が、この作品の深みとなっている。またエルヤスの悔恨や、彼がイーヴに寄せる父性愛が愛おしい。父性愛と言えばカドフェルも。

このシリーズは毎回恋人たちが誕生しますが、その理由がわかったような気が。カドフェルは考える、「一人ではたやすく諦めてしまうが、二人だと励まし支え合い、助け合えると 」。
恋人だけに限らないんですが、今作では人と人を繋ぐ想い、人が人へ寄せる想いが強く打ち出されていると思うんです。一人では苦難や哀しみに耐えられないかもしれない。けれども二人だと哀しみを乗り越えることができ、歓びを分かち合うこともできるのだ、と。

備考)2003年11月、光文社文庫より刊行【Amazon】(2004/2/23)

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