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変身・断食芸人/カフカ

変身・断食芸人
カフカ(フランツ・カフカ)

My評価★★★☆

訳:山下肇・山下萬里,解説:山下肇
岩波文庫(2004年9月改版)
ISBN4-00-324381-1 【Amazon

収録作:変身/断食芸人


フランツ・カフカ(1883-1924)は、当時オーストリア=ハンガリー帝国の領土ボヘミアの首都プラーグ(現チェコのプラハ)生まれ。ドイツ語圏の作家。父親はユダヤ系の商人。母親はかなりの家柄の生まれで、聡明だが内向的な性格だったらしい。フランツは気質的に母親の血統を受け継いでいると伝えられる。

変身(DIE VERW ANDLING.1915)
ある朝、青年グレゴール・ザムザが目覚めると、一匹のばかでかい毒虫と化していた。グレゴールは連日の出張にウンザリしていたが、父親の負債を返済するためにも仕事に出かけようとする。失職すれば社長が債権を持ち出すだろう。そうなれば両親と妹を養うことができなくなる。
だが虫の身では、ベッドから下りることもままならない。そうこうするうちに家族がグレゴールの姿を目撃してしまう。すると、これまでグレゴールに頼ってきた家族の態度が変化し始めた。

********************

あまりにも有名な書き出しだけれど、昔読もうとしたとき、この書き出しと、複数の脚や這い廻る描写が嫌で嫌でたまらなかった。妙に脚が多いのと、まったく脚の無い虫は大嫌いなのだ。結局、気最後まで読まずに途中で放棄。以来、読まずじまいだった。
今回、改訳ということで手にとってみたが、いま読んでみるとそれほど気持ち悪く感じなかった。まったく気持ち悪くないわけではないけれど、それよりもどんな結末になるのか知りたいという好奇心の方が勝ったので、最後まで読むことが出来た。

読了直後の感想は、まず、ワケがわからない。なぜ毒虫になるのかわからないから。それと、グレゴールの最期があまりにもみじめで、こんな最期にした作者への嫌悪感の方が先に立った。だが、落ち着いて考えるみると、手も足も出ない閉塞感や身の置き所の無さを虫に譬えたのだろうと考えることができるのかも。
グレゴールは自分が虫になったことを知ってもパニックに陥らず、会社をクビにされるかどうかを心配する。彼は虫と化しても家族を想い続けているのに、家族の方はそうではない。姿形が変わり話すことはできなくても、中身はグレゴールなのだ。
しかし家族はそう思っていない。グレゴールが思っている自己と、人々が見て考えているグレゴールという人間は、とても異なっている。また、不条理で非現実的な状況にあるのに、主人公と家族の言動はとても現実的。これらのギャップあるいは対比が凄いと思う。
この作品をどう受け止め何を見い出すかは、各人各様ではないだろうか。これほど多様な受け止め方を出来る作品は珍しいのではないかなと思うのだけれど。
私はやっぱり虫は苦手だが、他の作品も読んでみたいと思った。なんだかカフカにハマりそうな予感がする。

本書の冒頭はグレゴール・ザムザはある朝、なにやら胸騒ぐ夢がつづいて目覚めると、ベッドの中の自分が一匹のばかでかい毒虫に変わっていることに気がついた。(p7)と、このセンテンスは「気がついた」で結ばれているのだが、高橋義孝訳の新潮文庫では「発見した」になっている。「気がついた」と「発見した」では、グレゴールの視座がまったく異なるように思われる。どうしてこれほど違うのか不思議だ。

断食芸人(EIN HUNGERKÜNSTLER.1924
興行師の下、檻の中で断食という見世物をする芸人。その期間は40日と決められている。なぜならそれ以上断食しても、観衆の興味が薄れてしまい見向きもしなくなるからだった。
だが断食芸人はもっともっと断食が出来ると、胸中に不満が高じていた。しかし、この頃では断食芸の人気はスッカリ落ちてしまい、嫌悪する風潮さえあった。そこで断食芸人は、サーカスで雇ってもらうことに・・・。

********************

私には断食が芸になるという感覚が理解出来ない、そんな見世物が面白いとは思えないんだなあ。ま、いいんだけど。
断食芸人はもはや芸のために断食するのではなく、断食そのものを目的としている。人々が注目し感心しているとき、断食芸人は満足出来ない。逆に誰からも注目されなくなったとき、彼は至高の満足感を得たのではないか。しかしそんな断食芸人は、跡形もなく葬り去られてしまう。それこそが彼の願いであったかのように。(2004/10/17)

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