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カフカ短篇集/カフカ

カフカ短篇集
フランツ・カフカ

My評価★★★★

編訳・解説:池内紀
岩波文庫(1987年1月)
ISBN4-00-324383-8 【Amazon

収録作:掟の門/判決/田舎医者/雑種/流刑地にて/父の気がかり/狩人グラフス/火夫/夢/バケツの騎士/夜に/中年のひとり者ブルームフェルト/こま/橋/町の紋章/禿鷹/人魚の沈黙/プロメテウス/喩えについて/万里の長城


フランツ・カフカ(1883-1924)の存命中に発表された作品と、死後に編纂された作品集からの日本オリジナル編集。解説によると、作品が執筆されたのは1912~1922年頃にかけて。
カフカは難解だと聞く。そのために読むのを躊躇してしまう。そういう人は結構いるんじゃないかな。と言うよりいてほしい。自分がそうだから。しかし、難解だと思うのは、高名な作家や研究者がテクストを精神分析的に読み解いたりして、そういった情報が一般に伝わり、本来よりも難解だと思わせているんじゃないかと睨んでいる。
長篇はまだ未読なのでわからないけれど、この短篇集を読む限り、読みやすいし面白かった。けれども謎めいていて、やっぱりよくわからなかった。わからないんだけれど、面白い。

難しく考えようとすればいくらでも難解になるだろうが、そんな解釈は専門家に任せて、私としては単純に読書を愉しみたい。わからなくたっていいじゃん!幻想小説として読んだっていいと思う。
幻想小説というと不条理と考えられがちだ。カフカの作品も不条理ではある。ただ、「不条理」という言葉には、非現実的というニュアンスが感じられるように思う。カフカの作品は確かに現実的ではないけれども、私としては非現実というのではなく、「現実の不確実性」という感がする。現実が揺るぎないものだと信じていると足元をすくわれる、そんな感覚を受けるから。
つまり、前提として確固たる現実が在るわけだ。その現実とは「人間とはこうである」とでもいうような固定観念や共通感覚であるのだうが、そうした観念や感覚が揺さぶられるように思われる。しかし、どのようにも解釈できる。その点が面白さでもあると同時に、難解さにもなるんだろうな。

それはともかくとして、20世紀初頭の作家なのだけれど、いま読んでも古さを感じない。それはたぶんカフカが人間を描いているからであり、人間的存在の本質的な部分が、時代が移ろうとも容易には変化しないからじゃないのかな。
また、古びて感じないのは作品の多様性にもあるのだろう。『流刑地にて』『父の気がかり』は、見方を変えれば近未来SFにもなり得る。『掟』『狩人グラフス』はファンタジーにもなるだろう。
『火夫』は映画になりそう。『中年のひとり者ブルームフェルト』はコミックかチェコアニメが似合いそう。『万里の長城』は歴史小説風でもあり、アンチであるかないかは別として、ユートピア小説としても読めるだろう。
いろんな読み方ができる。だから面白い。古くて新しい、それが本書の印象。(2006/7/26)

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